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アジア戦略に創世期の再現なるか!?
K-1、起死回生狙う中国大会開催。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2011/09/27 10:30
中国大会の出場が決まっているバダ・ハリ。K-1には昨年4月に行なわれた、横浜大会以来の参戦となる
K-1の中国初進出が決定した。10月29日の『K-1 WORLD GP 2011 IN NANJING FINAL16』(ヘビー級トーナメント開幕戦)、会場は南京のオリンピック・スポーツセンター体育館。1万3000人収容のビッグアリーナだ。
大会にはバダ・ハリ、タイロン・スポーンといった新世代の主力選手たちが出場予定。また谷川貞治イベントプロデューサーによれば、現在はアントニオ猪木率いるプロレス団体・IGFに出場しているピーター・アーツやジェロム・レ・バンナとも交渉しているという。
インターネットの動画配信による開催発表は、大会までわずか1カ月余りというタイミング(9月15日)でのもので、マッチメイクは調整中。大会は現地のテレビ局JSBCとの共催だが、日本へのテレビ中継はアナウンスされていない。急ごしらえな印象は拭えなかったが、それでも中国への進出は、K-1にとって最大の、そして最後の希望だ。
K-1の生き残りを懸けた最後の地、中国。
周知の通り、K-1は今、深刻な危機に瀕している。大会数は激減し、テレビ放送は中断したまま。ファイトマネーの未払いや遅配も伝えられてきた。
「苦しい状況ですが、K-1がかつての力を取り戻し、世界一のイベントになることを目指していきます」
“ウェブ会見”で、谷川氏は言った。そのためには、新たなマーケットを開拓するしかない。とはいえ北米は空前のMMAブームでUFCの支配下にあり、ボクシング人気も根強い。ヨーロッパにはK-1と“つかず離れず”の提携関係にある『IT'S SHOWTIME』が存在し、欧州各国でイベントを開催している。残されたマーケットは、中国をはじめとするアジアしかないのだ。
しかもこの地は、今後も大きな経済発展が見込まれている。他のあらゆる産業と同じように、中国およびアジア諸国への進出は必須のビジネスなのだ。中国大会がインパクトを残せば、懸案である新体制(現地の投資銀行PUJIと提携してのもの)にも投資が集まりやすくなるだろう。中国ではキックボクシングやムエタイを学ぶファイターが増えており、選手発掘の下地もある。