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世界選手権、苦戦でも金。
吉田沙保里が地力を証明。
~日本女子レスリングの現在地~
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byMiki Sano
posted2011/10/08 08:00
残り時間3秒でポイントを奪った吉田。辛勝に涙ぐむも、史上最多記録タイの9連覇達成
試合が終わると、吉田沙保里はしゃがみこんだ。オリンピック、世界選手権でこれほど苦しんだことはなかった。涙がそれを物語っていた。
吉田は9月中旬の世界選手権(トルコ)、55kg級で優勝し、同大会9連覇を達成したが、決勝は辛勝だった。対戦したのは北京五輪準決勝でも戦ったバービック(カナダ)。第1ピリオドを取って迎えた第2ピリオドでリードした吉田だったが、終盤、タックルに入ったところを返されこのピリオドを失う。第3ピリオドも吉田が2-0とリードするが、タックルをやはり返されて、2-2。詳細は省くがルール上、同ポイントのまま終了しても吉田の勝利になっていた。しかし、ルールを勘違いしていた吉田は果敢に攻める。そして終了間際に1ポイントを奪い、ポイント上でも明確な形で、優勝となった。