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岡田ジャパンも参考にすべき!?
J開幕に見る“正しい”開幕試合。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byTomoki Momozono
posted2010/03/12 10:30
昨季はシーズン半ば2位につけるも一転、連敗を喫して結局6位に終わったフィンケ・レッズ。新生浦和の迷走は続くのか?
「0-0でもいい」城福監督は負けないことを優先した。
城福浩監督は横浜F・マリノスとの試合前、昨季の開幕戦(新潟に1-4で惨敗)の話を出した。
「昨季の開幕戦、うちは前半44分までいいサッカーをしたが、残り1分でCKの流れから失点して崩れてしまった。今日は苦しい展開になっても、じれずに我慢して欲しい。0-0でもいい」
いつものパスサッカーを捨てるわけではないが、今日ばかりは「バランスを崩さずに攻める」ことを強調したのだ。普段のようにリスクを負って攻撃に人数をかけるのではなく、常に守備を意識しながら攻めろということだ。
もしかしたらサポーターのなかには、開幕にもかかわらず消極的な戦い方をしたことに、失望した人もいたかもしれない。だが、自分たちのスタイルを貫くことの優先順位を下げ、「0-0でいい」と割り切ったことが、ロスタイムの平山相太の決勝ゴールにつながったのだ。
Jリーグ開幕戦の戦い方はW杯での開幕戦にも通じる。
たった2つのサンプルで結論を出すことはできないが、いくらポゼッションサッカーを志向するといっても、開幕という特別な試合においては、リスクマネージメントに重きを置くのが「正しい戦い方」とも言える。
おそらくこれは、ワールドカップのグループリーグの第1戦にも通じる。
日本はパスサッカーを目指すといっても、スペインやブラジルほどの精度も速さもない。カメルーンとの第1戦では、自分たちのサッカーを意識しつつも、負けないことを優先順位の上に置くべきだろう。
サッカーというのは、状況と展開に応じて、目まぐるしく「優先順位」が変わるスポーツだ。常に「自分たちのスタイル」を貫くなんてことは、よほど力の差がない限り、ただの自己満足になってしまう。