野球善哉BACK NUMBER
今季の京セラドームに異変アリ!?
新型人工芝に惑う各球団の守備陣。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/09/14 12:20
今季からアストロ社製の最新型の人工芝を採用した京セラドーム。“ロングパイル”という毛足の長い芝の形状が特徴で、似たような人工芝はメーカーこそ異なるが東京ドーム、ヤフードームなど多くの球場で使用されているのだが……
総合的に見ると現時点で最も優れた人工芝!?
とはいえ、球場の特性に不平・不満を言ったところで誰も助けてくれない。
確かに打球の跳ね方の判断が難しい球場ではあるが、京セラドームにしかない良さがあるのも事実だ。京セラドームHPでは「材質が柔らかで、見た目も踏んだ感触も、より天然芝に近いものであり、本格的な野球場としては、世界初の採用となります」と記してある。パフォーマンスの向上を促す良質な球場なのだ。
また、特殊な跳ね方の芝は守備陣を悩ませるが、逆の見方をすれば、攻撃面において特殊な打球の弾み方を利用できるということでもある。そのことを分かっているか否かが……この球場で戦う上では重要な要素になるだろう。
オリックス、阪神ともに、対応策はすでに立ててある。
当然、オリックスに分があるはずである。
佐竹学外野守備・走塁コーチは力説する。
「今シーズンが始まる前、芝の張替があったことを意識して、チーム全員で芝の跳ね方を確認しました。高いフライが飛んだ時は高く跳ねやすいとか、選手たちはみんな分かっていると思う。今でも、選手によっては試合前に練習している。走塁面では、もちろんチャンスだと狙っています。僕は一塁コーチを務めていますが、高いフライのヒットを打った時は、選手たちに(打球の行方から)目を切るなと言っていますね。日ハム戦のイ・スンヨプの走塁は、ああいう跳ね方をするのが分かっているからできた」
セ・リーグで、京セラドームを使用する阪神も同じである。
9月8日の広島戦ではマートンが大きなミスを犯している。広島の倉義和が放った打球を後ろへ逸らしたのだ。柴田講平がバックアップにいたから、打者走者の二進は許さなかったが、危なっかしいプレーではあった。
阪神・山脇光治守備走塁コーチの見解はこうだ。
「うちはそんなに京セラドームを使用せぇへんから慣れてへんけど、『状況を考えてプレーすること』とバックアップを選手には言ってある。今日も、マートンがやっていたけど、あの時は柴田がちゃんとバックアップにいってたから二塁打にはさせなかった。ああいう意識が大切かなと思う。この球場が跳ねることは分かっているので、守備にしても、走塁にしても、その意識をもってやってる」