青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
海外メジャーで苦闘した石川遼が、
ついにボール選びで結論を出した!?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2011/08/31 10:30
7月20日、セガサミーカップのプロアマ日には、表彰式後1時間近くにわたって尾崎将司が石川遼にショットの指導を行った
海外の硬いグリーンが飛距離へのこだわりを捨てさせた。
おおざっぱに言えばゴルフボールは、硬いと弾きが強くなり、スピン量が減る。ランが出やすく、その分飛距離も出やすい。
一方、柔らかいボールはクラブへの食いつきが増し、フェースとの接触時間が長くなるためスピン量は増える。
飛ばない統一球が話題となったプロ野球とは異なり、ゴルファーは自分のプレーに合わせて飛ぶボールや、スピンを重視したボールを選択しているのだ。
つまり石川の変更は飛距離を意図したものではない。増えたスピン量ゆえに吹け上がり気味になる球筋は、ランを抑える効果も生む。この決断の背景には海外メジャーでの経験があった。
「全英オープンとか全米オープンといったグリーンの硬いコンディションでは、ロングアイアンやミドルアイアンで打った時のランが半分に抑えられれば攻めの幅が広がる。一番の狙いはミドルアイアンのスピン量を増やすことでした」
「その2、3ヤードをなかなか捨てきれないプロも多い」
メジャー仕様の硬いグリーンにボールを止めるには高い弾道とスピン量が必要になる。
石川は7月下旬のサン・クロレラ・クラシックの会場で、新しいボールでの各クラブのスピン量を計測。その結果、XVよりもZスターがベターであるという結論に至った。
硬さの違いはショートパットのタッチにも影響が出やすく、石川もそのあたりは心配していたというが、実際に使ってみると問題はなかった。
「ドライバーの飛距離は2、3ヤード落ちたかもしれないけど、これが自分の理想かな。飛距離に関しては、体を鍛えてスイングをよくしたり、ヘッドスピードを上げることで伸ばしていけばいい。道具に頼るのはやめました」
メーカー担当者も「その2、3ヤードをなかなか捨てきれないプロも多い。そういう意味では大したもの」と自らの考えに基づいた決断を評価する。
2、3ヤードの飛距離にあっさりと見切りをつけられるのは、プレーの課題がドライバーからアイアンに移行しつつあることとも関係している。