詳説日本野球研究BACK NUMBER
「ダルビッシュ2世」も続々登場!?
名物背番号と「○○2世」を考察する。
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/07/29 10:30
今シーズン前半戦を終えた時点で、驚異の13勝を挙げているダルビッシュ有(日ハム)。日本球界を代表する存在となった彼に続く長身投手は現れるか?
アマチュア球界にも「ダルビッシュ2世」が増えている。
それを確認するため、私は昨年から今年にかけて、「ダルビッシュ2世」と言ってもいい長身投手を何人も見てきた。以下はその代表的選手である(カッコ内の数字は身長/体重)。
金井和衛(高崎商・192/85)、吉本祥二(足立学園・186/75)、藤浪晋太郎(大阪桐蔭・196/86)、武田翔太(宮崎日大・187/80)
見ていない選手では大谷翔平(花巻東・191/76)、川名健太郎(安房)、山崎正衛(近大高専)の評価が高い。見た中で言うと、金井、吉本に下半身を使い切れていないひ弱さを感じたが、武田と2年生の藤浪にはそういう弱点を感じなかった。
ともに内外、高低のコントロールに加えて、変化球の精度も高く、プロで大成する可能性を秘めている。金井は群馬大会準決勝を見る予定なので1年後の成長を確かめてからどこかで書くつもりである。吉本に関しては所属するのが足立学園という私立の進学校(いわゆる野球名門校ではない)なので、2、3年の猶予を見てから批評すべきだろう。
「小兵投手は成功しない」との定説も偏見にすぎない?
長身投手への偏見とともに、小兵投手に対する偏見も根強くあった。曰く、「投手は最低でも175cmはないといけない」がその代表的発言。175cm未満に絞って一軍クラスがどれだけいるか調べてみた。
荻野忠寛(ロッテ・174/72)、川越英隆(ロッテ・174/76)、武田久(日本ハム・170/73)、谷元圭介(日本ハム・166/65)、高宮和也(オリックス・173/73)、美馬学(楽天・169/75)、川岸強(楽天・174/74)、小笠原孝(中日・173/80)、石川雅規(ヤクルト・167/69)、大原慎司(横浜・174/65)
プロ入り後の成功率なら190cm以上を優に凌いでいる。この中で先発タイプは石川だけなので適性はリリーフにありそうだが、上背がなくてもプロで十分働き場所を得られる、ということをこれらの顔ぶれは物語っている。
ジンクス、定石の類は時代とともに変わる。元々、大した根拠があるわけではない。
180cm以上は大成しないと言われ続けてきたが、鈴木啓示(近鉄)、村田兆治(ロッテ)、江川卓(巨人)、北別府学(広島)、遠藤一彦(大洋)など、180cmを超える名投手は過去何度となく登場し、'80~'90年代には195cmにもなる金石昭人が日本ハムなどで通算72勝、80セーブという立派な成績を残しているのだ。「ダルビッシュ2世」は長身を恥じることなど一切ない。