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日本レスリング界に息づく、
「八田イズム」とは何か。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byPHOTO KISHIMOTO

posted2009/07/20 08:00

日本レスリング界に息づく、「八田イズム」とは何か。<Number Web> photograph by PHOTO KISHIMOTO

八田は、資金不足で高地トレーニングができなかった時に、選手にマスクをつけて酸欠状態でトレーニングをさせるなど創意工夫を凝らした

猛練習と八田イズムでメダルを死守せよ!

「レスリング王国」と呼ばれるほど栄光を誇ってきたレスリング男子だが、オリンピックでの金メダルは'88年のソウルで最後となる。その後は銀、銅メダルを辛うじて確保しているにすぎない。

 この成績をもって、これまでの猛練習を中心とした強化に限界があるのではないかと見る向きもあるかもしれない。

 だが単純にそうとはいえない。

 苦戦の大きな要因は、レスリングの強豪だったソ連の崩壊によりロシア周辺にも多くのレスリング強国が誕生したことにある。それによって国際大会に出てくる強豪選手の数が飛躍的に増え、競技レベルが際立って上がったのである。その中にあってメダルを死守できているのは、八田イズムが継承されているからこそなのではないかと思う。

 これからも世界での苦しい戦いは続く。それでも、先人が築いた伝統を守りたいと練習に明け暮れる選手の姿が、今日もある。

 今年9月には、デンマークでの世界選手権が控えている。

(写真は、八田が高地トレーニングの代わりに選手にマスクをつけ酸欠状態でトレーニングをさせている時のもの)

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八田一朗
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