セリエA コンフィデンシャルBACK NUMBER
丸坊主ブームのなか、ひとりロナウドは……。
text by
酒巻陽子Yoko Sakamaki
photograph byAFLO
posted2007/04/26 00:00
1位ネスタ(ACミラン)、2位ボリエッロ(ACミラン)、3位ガランテ(リボルノ)。
これは2年前に行われたイタリア人女性によるセリエA人気選手ランキングである。上位を占めたのが長髪の選手であったことから、女性が好む「いい男」は長髪が条件とされ、セリエAではロングヘアーが一世を風靡した。ところが、最近になって「いい男」の象徴である長髪選手の数が激減し、一方で急増したのが丸刈り、スキンヘッドだ。今シーズン、セリエAに登録される選手のうち、丸刈り選手は4割を占め、特に大黒が所属するトリノやアタランタには、主力選手の半分以上が坊主頭と、「髪がない」スタイルが流行っている。
偶然とはいえ、第32節で決まった27ゴールのうち、丸刈り選手があげたゴールは9。丸刈り選手の好調ぶりを示す数字だ。
セリエAでは一流選手が共通してロングヘアーだったことで、皆が髪を伸ばした。ただ、ピッチで戦う男たちがプレーの邪魔になるほどの長髪をなびかせる姿に矛盾もあった。数年前は、髪が邪魔にならないようヘアバンドやゴムでまとめるスタイルが流行ったが、常にヘアスタイルを気にする態度には、正直好感がもてなかった。今、セリエAで脚光を浴びている丸刈りは、かき上げる髪がないため、当然選手たちがヘアスタイルに気を取られる場面はない。
丸刈りには「再生」「再起」という意味も含まれている。悪童として名高かったマテラッツィ(インテル)や、ドイツW杯で失態を演じたデ・ロッシ(ローマ)などは、汚名返上を理由に頭を丸めた。今季、両者は十分な活躍をしている。ミランのガットゥーゾも、丸刈りにしてからさらにプレーに磨きがかかったといわれる。トッティもそうだ。坊主頭とまではいかないが、髪を短くしてからゴールを量産。現時点で自身初めての21ゴールをあげ、得点ランキング1位にいる。調子が上がらずミランサポーターの信用を失いつつあるFWジラルディーノも、坊主頭で再起をかけている。
このような流れに逆行しているのが、元祖丸刈りのロナウドだ。なぜか髪をのばしはじめている。
4月21日のカリアリ戦の試合前、スキンヘッドのGKキメンテがロナウドに「なぜ丸刈りを止めたのか?」と聞いた。ロナウドは「ベルルスコーニ会長がボクののばした髪型を気にいっているから」と答えたという。はたしてこの脱丸刈り、吉と出るか凶と出るか。見物である。