今こそモータースポーツBACK NUMBER
2010年のモータースポーツ界を憂う。
若者のクルマ離れには「レース活動」。
text by
西山平夫Hirao Nishiyama
photograph byShoichi Sudoh/AFLO
posted2010/01/24 08:00
ユーロビートが大音量で流れ、大観衆が見守っているスーパーGTのレース会場。市販車を改造したモンスターマシンがサーキットを疾走する
なぜスーパーGTだけお客が入るのか?
お話変わって、最近の日本国内のモータースポーツ。
議論の中に「なぜスーパーGTにだけお客が入るのか?」という話題があった。
理由は明快で、スーパーGTはここ数年日曜日の夕方5時30分という恰好の時間帯にテレビ東京で『激走! GT』という番組を流しているからだ。スーパーGTの成功の大半はここにあるのではと筆者は考える。この番組で徹底的に旬のレース情報を流しているので、ファンはサーキットに行く前にはレーサーやマシンのことを熟知していて、レースの推移もよく分かってらっしゃるのだ。
同じ国内モータースポーツのトップカテゴリーでありながら、フォーミュラ・ニッポン(FN)は毎戦閑古鳥だ。この大きな違いは、TV放送が原因ということで間違いないだろう。さらに言うと、FNの致命的なところはF1へとステップアップした小林可夢偉も中嶋一貴もFNとなんら関係なかったということ。仮に大リーグに直結しないプロの野球リーグがあったとしたら、誰も見向きもしないのと同じ理屈だろう。
いまF1直下のクラスはGP2となっている。そのGP2にはGP2アジアがあり、今年のF1開幕戦バーレーンがその緒戦だ。
FNのチャンピオンはGP2アジアへのスカラシップを得られる。あるいはFNの車両規則そのものをGP2とイコールにしてしまうといった英断が必要と愚考します。すでにこのコラムでもご案内しましたが、'08-'09年シーズンのGP2アジア王者は、小林可夢偉だった。
子供たちの夢の中に、まだ「F1レーサー」が生きている!
まだまだ書きたいこともあるが(たとえばモータースポーツと地球環境問題など)、それはまた機会を見ながらおいおいに。
そうそう、自動車メーカーの方たちとの懇談で嬉しかった情報をひとつ。
JAF(日本自動車連盟)の競技ライセンスは毎年減少傾向にあるものの、唯一“ジュニア・カート・ライセンス”だけは微増しているとか。これは小林可夢偉や中嶋一貴の親より一回り若い親御さん達が子供にF1の夢を託している、ということに他ならない。
日本のモータースポーツの将来も捨てたものじゃないなぁ! と、ちょっぴりいい気分にもなれた松過ぎのお正月でありました。