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早くも正念場を迎えたリバプールと
“知将”ベニテスの命運。 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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photograph byEnrico Calderoni/AFLO SPORT

posted2009/10/20 11:30

早くも正念場を迎えたリバプールと“知将”ベニテスの命運。<Number Web> photograph by Enrico Calderoni/AFLO SPORT

CLでもフィオレンティーナに敗れるなど、なかなか調子の出ないリバプール。監督のベニテスも2004年の就任以来最大の窮地に立たされている

ついに“名策士”ベニテスの監督手腕が疑われ始めた。

 同時に、これまでは「名策士」、「妥協を許さぬ完全主義者」などと賞賛されてきたベニテスの手腕も疑われ始めている。チェルシー戦後の新聞各紙は、中央での攻守のバランスを意識して、ジェラードを、トーレスではなくマスチェラーノの相棒として中盤で起用するべきではなかったかと論じていた。

 筆者が最も疑問視しているのは、ベニテスによる選手の操縦法だ。たとえば指揮官は、アストンビラに敗れた直後、「責任感が足りない」とメディアを通じてチームの主力を非難している。この発言に象徴されるベニテスの言動により、選手たちは、監督の下で心を一つにして、というよりは、監督を見返してやりたい一心でプレーしているように思えて仕方がない。チェルシー戦でのミスが敗戦を呼んだマスチェラーノやジェイミー・キャラガーのように、明らかに自信を欠いてしまっている選手もいる。ベニテスが口にすべきは、突き放すような言葉ではなく、いたわりの言葉ではないだろうか。

10月17日サンダーランド戦でも不運な敗北に見舞われ……。

 監督と経営陣との間に、ハーモニーが存在しない状況は今に始まったことではない。つい最近も、共同オーナーの1人であるジョージ・ジレットによる、「補強予算は十分に与えたが、有効活用されたかどうかは別問題。(タイトルを逃せば)監督とスカウト陣の責任だ」という発言が、『タイムズ』紙に掲載されて話題を呼んだばかりだ。

 早くも正念場を迎えているリバプールは、10月17日にサンダーランドと対戦し、致命的な敗北を喫した(ビーチボール問題は別として……)。今週末の宿敵マンチェスター・ユナイテッドとの対戦で負けるようなことがあれば、優勝争いだけでなくベニテス時代そのものに対しても引導を渡されることになりかねない。

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