オリンピックへの道BACK NUMBER
40男の執念、結実。
~中年の星、山本博復活の裏側~
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byTakaomi Matsubara
posted2009/05/24 06:00
国際舞台で30年間戦い続けてきた男の疲労。
それでも山本は、現役の道を選び、再び、代表の座を手にしたのである。
アーチェリーは息の長い競技だといわれる。とはいっても、第一線で活躍するには、競技者としての体力が必要だ。弓をひくには相当の筋力が必要であり、何十と射つにも持久力が求められる。アーチェリーは高い集中力を長時間持続しなければならない競技であるが、集中力を保つにも体力は重要である。練習は、的めがけてひたすら矢を射つことが中心となる。それを日々繰り返す継続性も大切だ。
国際大会で活躍するようになって30年ほど。山本は、これらを保ち続けてきた。だから今も第一線にいられるのだ。と、言葉にするのは簡単だが、これだけの長い年月、自身を律してきた強さはやすやすとはうかがい知れない。まして、引退をも考える挫折を乗り越えての年月である。
ロンドン五輪で金メダル。山本の夢は続く……。
今、山本が意識するのは、3年後のロンドン五輪出場である。もしロンドンに出場すれば、49歳で大会を迎えることになる。過去、日本最高齢のメダリストといえば、ロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した射撃の蒲池猛夫の48歳4カ月。
これからの3年、山本がどのような経歴を刻んでいくだろうか。その過程は十分注目に値するのであり、北京五輪が終わった翌年、まずは好スタートを切ることに成功したと言える。