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第3回:「鋭いカウンターと組織力のオマーンには要注意」 

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木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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posted2004/02/05 00:00

第3回:「鋭いカウンターと組織力のオマーンには要注意」<Number Web> photograph by AFLO

 日本とオマーンは何か因縁があるのだろうか。1998年ワールドカップ(W杯)の予選初戦もオマーンが相手だったが、2月18日にスタートする2006年ドイツ大会への予選第1戦もこの中東の国が相手である。さらに7〜8月のアジアカップでも同組だ。

 今回のW杯1次予選では、その他にシンガポールとインドが同グループだが、この中で最も警戒すべきはおそらくオマーンだろう。

 オマーンは2001年4月にチェコ人のマチャラ監督が就任して以来、若手を発掘して起用することに努めてきた。国際経験は少ないものの、昨年11月の'04アジアカップ予選で韓国に3-1の勝利を収め、グループ1位通過で初のアジアカップ出場を決めている。これが若いチームに勢いを与えたことは間違いないだろう。しかも最近の好成績でFIFAランクが急上昇し、昨年10月には一挙に22ランク上がって 80位、現在(1月14日付)は65位になった。(日本は29位、シンガポール107位、インド138位。)

 マチャラ氏は、クウェート、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)など主に西アジアの国々で代表監督を務め、クウェートでは'96年、'98年ガルフカップと'98年アジア大会の優勝と'96年アジアカップでベスト4入りを達成した。サウジアラビア監督だった'00年アジアカップでは、日本と対戦(結果は日本の4-1勝利)しており、アジアでの経験は十分だ。

 鋭いカウンターと組織力が武器と聞くが、オマーンにとって痛いのは、ガルフカップ大会中に主将のFWハニ・アルダバトが膝を負傷し、数カ月間戦列から離れることになったことだ。このこともあってチームは同カップ4位に終わったが、若手主体のチームには、このベテラン選手の欠場が得点力(アジアカップ2次予選でチーム2位の5得点)とメンタルの両面で影を落とす可能性がある。

 アジアカップ予選でチーム最高の7得点を決めたMFファウジ・バシールや、ノルウェーのSFKリンでプレーしたことのあるGKアリ・アルハブシは健在。だが、ガルフカップのバーレーン戦では相手の速いテンポの展開に混乱して黒星を喫したという。そのあたりが、日本が守りを固めてくる相手を崩すヒントになるかもしれない。

 シンガポールとインドも2月18日に彼らの予選をスタートさせる。

 シンガポールは'98年タイガーカップ以外、主要大会での優勝経験はない。'04アジアカップ予選は2次で、'02W杯予選は1次で脱落した。日本との対戦成績もシンガポールの3勝1分15敗と、分が悪い。

 ラドイコ・アヴラモビッチ監督は元クウェート監督で、'00年シドニー五輪クウェート監督でもあった。チームは1月6日から準備合宿を始めて、1月28 日、31日に予選のウォームアップを兼ねてTiger Beer国際大会でノルウェー、イランU-23と対戦しているが、あまり芳しい成績は残せていない(ノルウェーに2-5、イランU-23に2-3)。

 チームにはブラジルとクロアチアから帰化した選手(FWエグマル・ゴンサウベス、MFミルコ・グラボバッチ)がいるが、今回の準備合宿には選出されていない。代わりに、ナイジェリア生まれのFWアグ・カスミルが招集された。昨年19歳で代表デビューしたDFバイハッキ・カイザンも注目の若手だ。

 インドも1月24日から選考合宿を行っている。イングランド人のスティーブン・コンスタンチン監督の下、'03年LGカップ優勝したが、主要大会とは縁のない生活が続いている。主将で人気FWのバイチュン・ブティアや'03年インド最優秀選手に選ばれたMFトンバ・シンらが注目の選手だろう。日本との対戦成績はインドの3勝0分5敗で、日本の優位に変わりはなさそうだ。

 こういう相手と、日本はプレッシャーのかかるW杯予選という場であたり、そこではW杯予選ならではのチームの豹変もあり得る。いずれも侮れない相手とみてかかるにこしたことはないだろう。

 日本代表は2月3日、初めて戦術を含めたゲーム形式の練習を始めた。MF藤田(磐田)は、「相手の情報はこれから。まずは自分達がどうコンディションをつくるかが一番。今のうちにしっかりやっておきたい」と話した。

 日本はマレーシア(2月7日、カシマ)とイラク(2月12日、国立)と対戦して、オマーン戦に臨む。

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