MLB Column from WestBACK NUMBER

膨らみ続ける野茂英雄の功績。 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byAFLO

posted2008/09/24 00:00

膨らみ続ける野茂英雄の功績。<Number Web> photograph by AFLO

 長らく不況で社会人野球チームが次々に解体していく中、野茂投手が現状を憂えて、真っ先にクラブチームを設立したのは記憶に新しいだろう。それ以前にもアメリカの独立リーグチームを買収するなど、日本人選手たちがプレーする機会を供給する場を作り出してきた。彼の言動をみてもわかるように、彼は常に野球界のことを考え、率先して尽力してきている。

 だが一方で、残念ながら日本のプロ野球界とは疎遠の状態が続いているようだ。当時の近鉄球団と大揉めの末のメジャー挑戦もそうだが、結局日本人選手のメジャー流出のきっかけになってしまうなど、プロ野球界からすれば決して好ましい存在ではないのかもしれない。だがもっとマクロ的な見方をすれば、野茂投手の出現があったからこそ、野球界のグローバル化が進み、国際間で選手の交流(特にアジア各国のメジャー移行)が盛んになったため新たにプロ中心の国際大会WBCが誕生したといってもいいだろう。そういった意味で、野茂投手はプロ野球界に“正負”両面に渡り大きなインパクトを与えたのは紛れもない事実だ。

 「彼は永遠の野球少年だから!」

 かつて野茂投手と親交のある某スポーツ紙記者が、野茂投手をそう形容していたのを記憶している。今後いろいろな意味で変革が求められているプロ野球界に、純粋に野球について考えている野茂投手のような人物が必要になってくるのではないだろうか。ぜひ功労賞の特別表彰を検討するなど(受け取るかは別の話として)、プロ野球界が野茂投手を受け入れる姿勢をみせてほしい。

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