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日米を見たコーチが語るNBAの世界。 

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小尾慶一

小尾慶一Keiichi Obi

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photograph byDavid Sherman/NBAE via Getty Images/AFLO

posted2007/10/25 00:00

日米を見たコーチが語るNBAの世界。<Number Web> photograph by David Sherman/NBAE via Getty Images/AFLO

──ケイシーHCは、NCAA(全米大学体育協会)の名門チームでも、コーチ経験がありますね。NBAとNCAA、どちらがコーチしやすいものなのですか?

 (即答して)NBAだね。何よりもまず、選手をリクルートする必要がない。NCAAのコーチは、選手をスカウトして、大学に入れて、その後の成績も面倒を見なければいけない。そこまで含めて、コーチの職務になる。でも、NBAでは、たったひとつの仕事をすればいい。それは、バスケットボールだ。

──NBAのHCは、コーチにとって理想の仕事だと思いますか?

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 そう思う。世界最高級の選手たちとチームを築き、世界最高級のHCと対戦する。まさに、ドリームジョブだよ。これに勝るのは、五輪で代表チームのHCになることぐらいかな。だからこそ、ウルブズを解雇されたときに、私はくよくよ考えなかった。NBAのHCとは、解雇されるものなんだ。ジェリー・スローンもそうだし、ドン・ネルソンもそうだ。偉大なHCも、皆、解雇された経験がある。これは、そういう類の仕事なんだ。

──次に、日本のバスケットについて聞かせてください。他国との違いは何でしょう?

 体のサイズだね。これまでもそうだったし、それは今後も変わらないだろう。日本人選手も大きくなってきているけれど、それでもアメリカや欧州の国々には及ばない。ただ、運動能力やバスケットの理解力は大きく向上したと思う。今後は、コーチの質がさらに向上し、そうやって成長したコーチがよりうまく選手を育てる、という流れが大事だと思う。外国のコーチからも、多くのことを学んでほしい。私自身、今も、他のコーチのクリニックに参加させてもらって、そこから学びとろうとしている。

──今回のクリニックにも、そういう想いが込められていますか?

 そうだね。そうなってほしいと思う。今回コーチした栃木ブレックスは、オフェンスが強いチームだ。でも、スペーシングやタイミング、ポストディフェンスに取り組めば、もっと強くなる。こうした機会に、海外の新しい発想や哲学を、どんどん吸収してほしい。

──日本人選手の可能性についてはどうでしょう?

 以前にも話したことがあるが、田臥(勇太)を(シアトル・)ソニックスのトレーニングキャンプに呼ぼうとしたことがあるんだ。あれは、2年前だね。彼なら、シアトルで成功できると思った。シアトルには、すでにイチローというスターがいて、日本人のファンも多い。プレーの面でも、田臥とシアトルは良い組み合わせだと思った。でも、田臥はサンズを選んだ。ポイントガードが多かったこともあり、彼はカットされ、いま、マイナーリーグのNBADL(NBA傘下のマイナーリーグ)でプレーしている。とにかく、大事なのは、自分に合ったチームでプレーすること。そうすれば、田臥も力を発揮できるはずだ。控え選手として出場し、スピードとクィックネスでゲームの流れをがらりと変える選手になれると思う。

 最近は日本のトップリーグをそれほど見ていないけれど、日本代表でコーチをした経験から言うと、長谷川(誠)は、NBAの可能性があるトップガードだった(*1998年、長谷川誠や佐古賢一擁する男子日本代表は、31年振りに世界選手権に出場。当時、ケイシーは日本代表のアドバイザリー・コーチを務めていた)。佐古もそうだね。長谷川は運動能力があって、タフで、きらめくようなスピードがあった。アップテンポなスタイルを持つチームなら活躍できたかもしれない。一方、佐古は正統派のポイントガード。ジャズやレイカーズのような強固なシステムを持つチームで機能したはずだ。

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