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優勝のカギを握るのは“誤審”。 

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酒巻陽子

酒巻陽子Yoko Sakamaki

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photograph byREUTERS/AFLO

posted2008/02/12 00:00

優勝のカギを握るのは“誤審”。<Number Web> photograph by REUTERS/AFLO

 度重なる不可解な判定で、ここまで今季9回のPKを得て勝ち点で8ポイントの得をしているインテル。一方、ユベントスは勝ち点7ポイント、ミランは8ポイントを失っていることが、某イタリアスポーツ紙の統計で明らかになった。審判員が正当なレフェリングを行ってさえいれば、ユベントスの勝ち点は2位のインテルに3ポイント差をつけて首位、ということになる。

 インテルのモラッティ会長から「02年のリーグ優勝にはじまり、ユベントスのスクデットは常に審判員の贔屓によるものだった」と言われたユベントスだが、誤審によりインテルに12ポイント差をつけられて3位という現状は面白くないだろう。

 現在5位のミランも、失われた8ポイントを加算すれば41ポイント。首位奪回射程圏内の4位だった。主力FW陣にケガ人が続出していることから、幹部は手に入れ損ねたポイントの重みを痛切に感じている。今シーズン、常に降格圏内をさまよっているレッジーナも、誤審によって奪われたと言われる7ポイントを加算すれば、計算上は12位まで浮上する。

 2月4日、フィレンツェで行われたプロリーグ連盟とコリーナ審判選定委員長との緊急会合では、今季これまで77回のPK判定のうち、20回を上回る判定が誤審と言われていることに焦点が当てられ、一部のクラブがその恩恵を受けていることについて激論が交わされた。審判へのバッシングに困り果てたコリーナ委員長は、プラティニ・UEFA会長が提案した「ピッチ上での5人審判員制」をイタリアで導入する方針を示した。

 しかし、レフェリーが5人になってもそれぞれがレベルアップしなければ、誤審問題は一向に解消されない。公平なレフェリングを目指して、外国人レフェリーの導入や審判員のプロ化などの打開策は何時もあがってはいるが、保守的なイタリア人はなかなか行動に移せないため、この問題はセリエAの永遠の課題となっている。

 誤審問題は、思わぬ副産物も生んでいる。今季、PKを7回連続で成功させているインテルのFWイブラヒモビッチが、97−98シーズンに記録されたロベルト・バッジョの11回連続PK成功記録を追い抜く可能性が出てきたのだ。

 疑惑の判定はいつまで続く?

 いずれにしても今季は、審判に贔屓されているクラブがタイトルを獲得するような気がする。ユベントスには気の毒だが……。

#ピエルルイジ・コリーナ

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