カンポをめぐる狂想曲BACK NUMBER

From:東京 「最終回に寄せて。」 

text by

杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

PROFILE

photograph byShigeki Sugiyama

posted2009/03/18 20:53

From:東京 「最終回に寄せて。」<Number Web> photograph by Shigeki Sugiyama

自分の目で見たこと、肌で感じたことをたよりに、世界中の“現場”から

写真と文にして送り続けてきたこのコラム。8年の長きにわたる連載が、

ついに最終回を迎えることになった。読者のみなさん、どうもありがとう!

 ついに、来るべき時が訪れた。

 な、な、なんと「カンポをめぐる狂想曲」は今回が最終回。

 2001年2月23日に、フィンランドのラハチから最初の原稿を送信して以来、丸8年。それこそ世界のいろんな場所から、お気軽な調子で書きつづってきた。

 楽しくやらせてもらったわけだが、少しばかり大変だったのは一緒に掲載する写真で、たまにこの連載を読んでいる知人から「あの写真良かったね」などとおだてられると、文章を書くよりはるかに大きなプレッシャーに苛まれることになった。

 それでもあえて写真と文でやらせてもらった理由は、その場所にいることを強くアピールしたかったからだ。

 カメラマンは「そこ」に行かなければ写真は撮れない。一方でライターは「そこ」に行かなくても何とかなってしまう。そうしたケースがよくある。実際はテレビ観戦でも、現場観戦したような原稿が書けてしまう。読者に見抜かれることなく、だ。

 ただ、僕が読者なら、それを簡単に見抜くことができる。すなわち、この連載を写真と文にした理由は、僕が僕を監視することが目的だったのだ。

 スギヤマは見てもいないことを“テキトウ”に書いていないかと、ある意味で“テキトウ”な原稿を書きながら、少しばかり真面目にチェックしていたのだ。写真を撮りながら、理想を追求していたわけである。

 僕は、実際に見たことしか書きたくないタチだ。そういう意味でカメラマン的だ。

『4-2-3-1』という新書にしても、ともするとお堅い“論”の塊のような印象を与えるが、そこに書かれているのは、机上の空論ではない。すべて自分の目で見たものだ。取材を通して得た話だ。実際に「そこ」で見ていなかった人から、とやかく言われる筋合いは一切ない。

 ウソだと思うなら、自分の目で見て確かめるがいい。なにより、僕がこの仕事をし始めた理由はそれだった。「その話ってホント?」。本を通して、人の話を通して知り得た情報に、疑問を抱き、自分の目で確かめたくなったからだ。その昔「ダイヤモンドサッカー」で、解説の岡野俊一郎さんが話していた内容に引っかかりを覚えたことが、大きな原因になっている。

 僕の新刊『日本サッカー偏差値52』(実業之日本社)が、3月19日に発売になる。読者が「ウソだー!」と言いたくなる話を、いっぱい詰め込んだつもりだ。現在発売中の責任編集本『サッカー番長杉山茂樹の“オールナイトサッカー”』(コスミック出版)ともどもよろしくお願いします。

 それからブログ(http://ameblo.jp/shigekisugiyama/)もやっています。おヒマがあれば、ぜひのぞいてみてください。

「カンポをめぐる狂想曲」を長い間ご愛読いただき、本当にありがとうございました。

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