ジーコ・ジャパン ドイツへの道BACK NUMBER
2005年コンフェデレーションズカップVSギリシャ戦(2005年6月19日)
text by
木ノ原久美Kumi Kinohara
photograph byNaoya Sanuki
posted2005/06/21 00:00
第1戦で出た宿題は片づけたようだ。
日本は6月19日にフランクフルトで行われたコンフェデレーションズカップ第2戦でギリシャと対戦し、積極的なプレーで欧州王者に1−0で勝利を収め、準決勝進出に望みをつないだ。
日本は第1戦とは別のチームのように、積極的で集中していた。特に、体格差のある相手に体を寄せて、当たり負けしない粘り強さをみせ、プレスをかけて自由を与えなかった。
「この間の結果を踏まえてリカバーしたいと思っていた」とDF宮本は言った。MF中村も、「今日は勝つのも大事だが、自分たちに何が出来るかを試したかった」と話したが、その意図は攻守両面でプレーによく表れていた。
相手の動きは全般に鈍く、中盤でプレッシャーがほとんどないので、おもしろいようにパスが繋がり、チャンスができる。
開始7分に左サイドの三都主のパスを受けた玉田がゴール左ポスト脇へ放ったシュートを皮切りに、12分、18分、20分、22分、38分、41分と、FW玉田、柳沢の2トップを中心に次々とギリシャゴールを脅かすシュートを放つが、ゴールネットには入らない。
ようやく、後半交替出場したFW大黒が後半30分に中村からのボールを受けて、相手GKの鼻先を掠めるようなグランダーをゴール左へ流し込んで1点を決めた。
大黒は、「メキシコ戦はボールが来なくて、もらいに行ってゴールから離れてしまった。今日はボールが来なくても前でプレーしようと思った」と言い、前回の反省を生かしていた。
第1戦から改善された対応が見られたことは喜ばしい。が、数々の決定機を外し続けるいつもの課題が改めて出た。
前半、自由にボールを持たせてもらえてチャンスを作れていた間にきっちり決める力が欲しい。幸い、今回のギリシャは欧州王者という肩書きをつけるのがはばかられるほどパフォーマンスが悪く、後半に多少の抵抗はみせたものの、こちらがミスと油断をしなければ、特別な脅威は感じられなかった。中村も「メキシコほど相手のレベルが高くなかった」と認識している。
だが、W杯のようなトップレベルの大会ではまず事情が違うと考えた方がいい。後半相手の反撃を浴びて、前半のチャンスに外したことを悔いるような展開はよくある話だ。FW陣には、シュート場面でふてぶてしく冷静になれるほどの技術と精神が求められている。それは個人の問題だろう。
この試合、3月のイラン戦以来初の4バックを起用した。ジーコ監督は、「落ち着いて自分達のよさを出すための変更」と試合前日に話していたが、これまで試みた同システムの中では最もうまく機能していたと言えるだろう。対戦相手の力を割引いて考えても、だいぶこなれてきたということか。
「最初の笛が鳴った時から最後まで、すばらしいサッカーをした。これだけチャンスを作って、もう少し点が入ってもよかったと思うが、集中を欠かないプレーは賞賛にあたいする」とジーコ監督は選手を褒めた。
このレベルの相手には通用するという手応えはつかんだだろう。だが、上のレベル相手ではどうか?
次は22日にケルンでブラジルと対戦するが、この日ブラジルはメキシコに1−0で負けたために1勝1敗。2勝をあげたメキシコを追う形になった。準決勝進出をかけて、南米王者は真剣勝負で日本戦に臨んでくることは間違いないだろう。日本も勝たなければ次のラウンドへ進めない。腕試しをするには十分な舞台が整ったといえる。
「ブラジル相手に特別やりかたを変えることはしない。常に勝ちを前提に自分たちのよさを出し、相手のよさを消すプレーをする」とジーコ監督は母国との対戦について言った。
本気のブラジル相手になにをどこまでできるか。厳しい戦いだが、楽しみでもある。