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結果至上主義が吹き荒れるセリエA。
新監督たちの今季成績を総チェック! 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2011/06/11 08:01

結果至上主義が吹き荒れるセリエA。新監督たちの今季成績を総チェック!<Number Web> photograph by Getty Images

7シーズンぶりの優勝を果たしたミランのアッレグリ監督。前チームとなるカリアリ時代の2010年には、年間最優秀監督におくられる「パンキーナ・ドーロ」(金のベンチ)も受賞している

 '10-'11年シーズンのセリエAを制したのは、新人監督アッレグリ擁するミランだった。開幕時、昨季からベンチを一新して新シーズンに臨んだのは、北のビッグ3を含む計12チームに上ったが、その明暗はくっきりと分かれた。

 43歳でミランへ抜擢されたアッレグリは、多彩な戦術運用を見せ、ビッグクラブ1年目らしからぬ統率力を発揮した。シーズン中盤、相次ぐ故障でMF不足に陥り、インテルやナポリの猛追を受けたが、「どこが来ようとも首位はわれわれだ」とチームに自信を与え続けた。ほぼフルシーズンにわたって首位を堅持した末の優勝は、監督の功績大との高い評価を得た。

 イブラヒモビッチやロビーニョ、ボアテングといった今季加入組の活躍もさることながら、チアゴシウバとネスタによる円熟のCBコンビが最少失点(38試合で24失点)の奮闘を見せたことも大きい。ミランの優勝は、才気あふれる新監督の下で、選手とフロントも目標達成へ一丸となった好例だった。

 また、前年度15位のチームを率いてCL予備予選枠を勝ち取ったグイドリン(ウディネーゼ)や、貧弱な戦力ながらサイド攻撃を多用するパスサッカーを貫いてA残留を決めたフィッカデンティ(チェゼーナ)も、称賛されてしかるべき新任監督だった。

受難続きで結果を出せなかったインテルとサンプドリアの新監督。

 ただし、陽があれば陰もある。新監督を迎えたものの好結果を残したチームばかりではなかった。

 昨季の3冠王者インテルの将となったベニテスだったが、稀代のカリスマであるモウリーニョの後任ポストが易しい仕事であるはずがない。

 クラブ世界一のタイトルは獲ったが、選手と上層部からの信頼は得られず。自身の求心力を発揮できないまま辞任へ追い込まれた。その後任レオナルドも健闘したが、出遅れた前半戦の影響は最後まで響いた。

 イタリア中に衝撃を与えたのは、前年度4位だったサンプドリアのB降格だ。怨敵ジェノアのサポーターですら「実感がわかない」と当惑するほどだった。

 夏のCL予備予選でブレーメン相手に敗退したのがケチのつき始め。 

 注目度が格段に低いヨーロッパリーグに回り、新監督ディカルロはチームのモチベーション維持に苦しむ。10月下旬には、カッサーノがガッローネ会長と大喧嘩を起こし、リーグの仲裁も実らず冬の市場でミランへ移籍。カッサーノが去ることでクラブへの愛想を尽かした盟友FWパッツィーニもインテルへ出ていった。

【次ページ】 サンプドリアの降格で表面化したカップ戦の難しさ。

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