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「巨大感動装置」に彩られた、
箱根駅伝の“経済戦争”を読み解く。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byKenta Yokoyama/PHOTO KISHIMOTO

posted2009/12/31 08:00

「巨大感動装置」に彩られた、箱根駅伝の“経済戦争”を読み解く。<Number Web> photograph by Kenta Yokoyama/PHOTO KISHIMOTO

タスキをつなぐ感動劇と仁義なき経済戦争、どちらも箱根だ。

 箱根は美談で語られることがやたらと多くなった。

 タスキをつなぐというドラマツルギーに、学生たちの必死の形相……。

 そこには甲子園に似た「巨大感動装置」の仕掛けが満載されている。

 もちろん、箱根がレースとして滅法面白いのは確かである。日本のどの陸上イベントよりもとりわけ面白く、それは視聴率も証明している。

 それでも、忘れてはならない。その裏では大学間の仁義なき経済戦争があり、現場の監督たちはその大学営業部隊の最前線という競技以外のプレッシャーをも意識して戦っているということを(しかも身分が安定しているわけではない!)。

 箱根は単なる駅伝というスポーツの枠組みを超え、大学の在り方をも巻き込んだ重層的な構造を持つようになってきた。大学の経済事情やスカウティングなど、その裏事情を突っ込んで知れば知るほど、箱根はまた違った味わいを見せてくれるのだ。

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