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私の日本サッカー論。サンテティエンヌMF 松井大輔「日本とヨーロッパではテクニックの概念が違う
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiminori Sawada
posted2008/11/06 21:07
フランスでプレーするようになって早いもので5シーズン目になります。こっちに来てからは、Jリーグはほとんど見ていないです。でも日本代表戦はDVDを送ってもらうし、最近は呼ばれるようにもなりましたから(笑)。
彼らを見ていると、みんな凄くうまいです。技術レベルはかなり高い。ただ日本とヨーロッパ──といっても僕はフランスしか知りませんが──では球際の激しさが違うから、日本のホームゲームならいいけど、ピッチコンディションの悪いアウェーで、どれだけできるかでしょうね。
フランスのピッチは日本のようによくない。芝生が濡れていて滑るし、ボールが走る。相手のプレッシャーもきつく、そんな状況でどれだけ正確な技術を発揮できるか。そこでしっかりボールを止めてパスを出せる選手が、テクニックがあるといわれる。
オシムさんが、「日本人は、自分たちが思っているほどテクニックがあるわけではない」と言ったそうですが、彼のいうテクニックも、悪条件のなかでもぶれない技術のことだと思う。応用力というか適応力ですが、日本とヨーロッパではサッカーが全然違うというのが、僕の正直な感想です。
日本の選手はガツガツとボールを取りに行かない。綺麗に守ってインターセプトしてボールを奪うのが日本のディフェンスならば、ヨーロッパのディフェンダーはとにかく身体を張る。ボディコンタクトの強さ、激しさは半端ではない。どっちがいいかじゃなくて、両方できればベストなんでしょうが。
僕自身もボールに対して、以前よりずっと集中するようになったと思います。ヘディングでジャンプして競り負けたときの、チームメイトたちの罵声ときたら(笑)。「何でもっといかないんだ!」みたいに散々言われますからね。
ディフェンスそのものも、日本とヨーロッパでは違う。日本の選手は、とにかくよく走る。ポジションに関係なく動いて、プレスをかけ続ける。どこで行くと決めずに、ずっとボールを追いかけてますよね。
こっちはブロックです。相手ボールになったら、まずディフェンスブロックを作る。求められるのは、自分の担当するゾーンに、出来るだけ速く戻ることです。そこに侵入者がきたら、お前の担当だから守れというのがディフェンスの考え方です。
チームワークで連動して守るか個人で守るか。そこに大きな違いがあります。
攻撃の場合も同じです。ルマンのときはすごく単純で、センターフォワードに楔のロングボールを放り込むか、サイドの僕やバングラ(ギニア代表)に出して「行ってらっしゃーい」(笑)。ロマリック(コートジボワール代表)がボランチから長いパスをふるという、人まかせの攻撃でした。今のサンテティエンヌは、楔を入れて落としてスルーパスという、日本代表とちょっと似たスタイルですが。