Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
<メダルが期待される選手たち> 里谷多英 「愛子の姿に教えてもらった」 ~バンクーバー展望~
text by

時見宗和Munekazu Tokimi
photograph byAFLO
posted2010/02/09 10:30

2/2 ページ目
この記事を1ページ目から読む
「金メダルを取る可能性は十分」とカナダのコーチは警戒。
里谷の天才をもっとも恐れているのが、かつての日本チームのコーチであり、今大会のホスト国、カナダのモーグル女子チームのコーチであるスティーブ・フェアレンだ。「もしもタエが持っている力の60パーセントを出すことができたら、ふたたび金メダルを取る可能性は十分にあるだろう」と語る。好調時は男子に混じっても中位に入るタイムを記録するスピードと、里谷曰く「いつでも、どこでも、行きたいところに行ける」コントロール能力。そして何より、異常なほどの集中力。
「大会が近づくにつれて、見えなかったものが見えるようになったり、感じられなかったことが感じられるようになった。あと1週間というところにくると、できなかったことが次々にできるようになって、すべてがバタバタと積み重なっていく。長野で金を取ったときも、ソルトレイクで銅を取ったときも、振り返ってみればそういう感じでした」
1月中旬、海外遠征からの帰国の原因となった腰痛は順調に回復。里谷に限っては、残された時間は十分すぎるほどだ。
里谷多英(さとやたえ)
1976年6月12日、北海道生まれ。北海道東海大学を経てフジテレビに入社。'94年リレハンメル五輪11位。'98年長野五輪で金メダルを獲得。'02年ソルトレイク五輪では銅メダル。'06年トリノ五輪は15位に終わる。166cm、55kg
