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鹿島アントラーズ 「揺るぎなき常勝戦略」 ~J史上初3連覇のフロント力~
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![二宮寿朗](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/f/d/-/img_fdcde79c67157a4b29c5f3719f67f36a58620.jpg)
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2010/01/14 10:30
![鹿島アントラーズ 「揺るぎなき常勝戦略」 ~J史上初3連覇のフロント力~<Number Web> photograph by Toshiya Kondo](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/7/3/700/img_7385a48f7fd5575d75bf72e159476ded23790.jpg)
Jリーグ発足以来、毎年のように優勝争いに絡み、昨季ついに13冠目のタイトルを獲得した。茨城の片田舎にあるクラブが常勝軍団となりえた背景には、“神様”ジーコがもたらしたプロ精神の継承、そしてチームを支えるフロントの驕ることなき緻密な戦略があった。
2009年、暮れ――。
イビチャ・オシムはオーストリアに帰るチケットを手に、11カ月ぶりに訪れた日本を離れようとしていた。成田空港のロビーで記者たちに囲まれると、ゆっくりと椅子に腰を下ろしてから語り始めた。老将は話題の中心をJリーグのあるクラブに置いた。
「まさに日本的バルセロナという戦い方だ。チームとしてのまとまり方、積極的なプレー、そして試合を勝利で終わらせるためのあのような知性を、日本代表にも持ってほしい」
いつもは辛口で知られるオシムには珍しく、礼賛の言葉が並んだ。「カシマ」という単語が弾むように何度も口をついて出た。
鹿島アントラーズは昨年、Jリーグ史上初の3連覇を成し遂げた。通算7度のリーグ制覇はJクラブのなかで群を抜いている(2位はジュビロ磐田、横浜F・マリノスの3度)。さらに言えば、一度も2ケタの年間順位を記録していないのは、この鹿島だけである。
鹿島のホームタウン人口は5市合わせて約28万人に過ぎない。浦和レッズの約6割ほどの経営基盤しか持たない茨城県のローカルクラブが、何故これほどまでに安定した力を誇り、成功を収めてきたのか。
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