ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
「なんか、うまく噛み合わない」
宇佐美が危惧する五輪代表の現状。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2011/04/26 10:30
現在18歳の宇佐美は、中学1年生(U-13代表)からすべての年代の代表チームに選ばれ、その中心選手として活躍してきた。今年1月のアジアカップにはA代表の予備登録メンバーとして選出されていた
ロンドン五輪出場を賭けた6月19日、アジア2次予選のクウェート戦まで、2カ月を切った。
ロンドン五輪代表は、2011年に入りアジア大会優勝時のメンバー構成をガラリと変え、2月の中東遠征、3月のウズベキスタン遠征と強化に取り組んできた。
しかし、チームの完成度はまだまだだ。
4月の短期合宿では、全日本大学選抜に2-0で勝利したもののヴィッセル神戸には0-2の敗戦。
中田英寿、中村俊輔ら優れた選手を擁したシドニー五輪代表以来とも言われる、宮市亮、宇佐美貴史、原口元気、金崎夢生、清武弘嗣、山田直輝、東慶悟、小野裕二、香川真司ら攻撃陣に多くのタレントを抱えるロンドン五輪代表。当然期待感も非常に大きいのだが、GK権田修一が「危機感を持つべき内容」と、言うように予選突破に向けて大きな不安を抱えている。
これだけのタレントがいながら、攻撃の型が決まっていない!?
ではこのチーム、現在どんな状況になっているのか?
関塚監督は、4-2-3-1のシステムを採用している。永井謙佑を1トップに置くことを想定し、攻撃的MFには宇佐美や原口らドリブラーを配しているのだが、今ひとつ攻撃が機能していない。個々の感覚でなんとなく攻めており、ゴールに繋がらない。南アフリカW杯前、日本代表が岡崎慎司を1トップとし、背後に大久保嘉人、松井大輔らのアタッカーを配置したが、攻め手を欠いたのと似たような状況に陥っているのだ。
「なんか、うまく噛み合わない」
宇佐美の悲痛な叫びだ。
選手間のコミュニケーション不足といった一面もあるが、どう戦うのか一本化されていないがゆえの戸惑いが読み取れる。
アジア大会から大幅にメンバーが入れ代わり、相性などのテストも平行して行なわれているせいもある。だが、その事情を考慮しても攻撃はスムーズな流れを作れず、ノッキングしたようなシーンが何度も見られた。その結果、宇佐美のような言葉が洩れてくる。このままだと多数の選手をテストし続け、最終的にまとまりを欠いたまま本大会で3連敗した北京五輪の二の舞を踏むことになる。
では、どうすべきなのか。