ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER

「なんか、うまく噛み合わない」
宇佐美が危惧する五輪代表の現状。 

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佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO

posted2011/04/26 10:30

「なんか、うまく噛み合わない」宇佐美が危惧する五輪代表の現状。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS/AFLO

現在18歳の宇佐美は、中学1年生(U-13代表)からすべての年代の代表チームに選ばれ、その中心選手として活躍してきた。今年1月のアジアカップにはA代表の予備登録メンバーとして選出されていた

最終予選を突破した五輪代表には軸となる選手がいた。

 本来ならばA代表でも中心の香川を軸にチーム作りをしていきたいところだが、現実的には両チームで同時期にプレーしていくのは困難だ。

 一番手っ取り早い処置は、香川の最終的な参加を想定しながら、どう攻めるのかをより明確にし、それまで攻撃の軸を誰にするのか決めることだろう。

 実際、過去に最終予選を突破し本大会に出場した五輪代表には、必ず軸になる選手がいた。アトランタ五輪では前園真聖、シドニー五輪では中田英寿、アテネ五輪では、大久保嘉人、松井大輔、石川直宏ら3本の矢がチームを引っ張った。

 現ロンドン五輪代表も昨年のアジア大会で優勝した時は、永井謙佑を最大限に生かすという部分で、チームの戦い方は統一されていた。そのため選手たちは非常にシンプルにプレーでき、それが優勝という結果をもたらす大きな要因にもなったのである。 

 米本拓司は、言う。

「このチームは、中盤の攻撃的な選手にいい選手が集まっている。点を取るには、彼らを活かすことを第一に考えて、うまくバックアップしていきたい」

 米本の指摘のように、宇佐美ら優れたMF陣を第一に活かしたいのであれば、南アフリカW杯での日本代表を参考にすればいい。

岡崎慎司から本田圭佑に代えた岡田ジャパンを参考にするべき!!

 W杯前の親善試合で勝てなくなった岡田監督は、1トップを裏に抜けるスピードのある岡崎慎司からポストワークができる本田圭佑に変更した。そうして、松井や大久保の攻撃力を発揮させ、本田の良さもうまく引き出すことに成功した。

「オカは悪くはないけど、サイド攻撃を重視した末、圭佑をトップに置くことを岡田さんが決めた。初戦まで時間がない中での決断だったけど、嘉人や大輔の力を活かしつつ、こうやって戦うんだということが明確になったのは大きかった」

 後に遠藤保仁もこう語っている。

 この成功例を現在のロンドン五輪代表に当てはめればいいのだ。

【次ページ】 「世代とか関係なく、自分からどんどん要求していく」

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