濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
パンクラスのメインを張った女子選手。
歴史の重みとも戦ったWINDYとV.V。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2011/04/13 10:30
WINDY智美(右)は27歳にして総合、キックなど合わせて40戦以上のキャリアを重ねてきたエース的存在。対する、V.V Meiも28歳にして「ヴァルキリー」のフェザー級王者と、ともに日本女子格闘技界を代表する選手である
4月3日に行なわれたパンクラス・ディファ有明大会のメインイベントは、WINDY智美(ウィンディともみ)対V.V Mei(ヴィー・ヴィー・メイ)による女子マッチだった。
パンクラスは1993年に旗揚げした老舗団体だが、女子をメインに据えるのは初めてのことだ。
WINDYはキックボクシング出身で、総合格闘技ではパンクラスに所属。女子は自分一人という環境で揉まれてきた。
一方のV.Vは金網女子総合イベント「ヴァルキリー」のチャンピオン。昨年2月、それまで女子総合の頂点に君臨してきた辻結花を破って戴冠を果たした。今回はパンクラス初参戦にしてフリー第一戦、またリングネームをV一(ヴィーはじめ)から変えての初戦でもあった。
これまでパンクラスの女子部門を支えてきたWINDYと、他団体の王者であるV.V。対抗戦という側面もあるこの試合は女子格闘技の中でも話題性が高く、他のカードがやや“手薄”だったことを差し引いてもメインにふさわしいバリューを持つものだった。
「ストライカー対グラップラー」という徹底的な個性の潰し合いに。
試合では、両者の個性がそのまま出た。
序盤はストライカーのWINDYがリードする。ワンツーとローキックで圧力をかけ、右ストレートで顔面を打ち抜く。
だが、1ラウンド後半はV.Vがペースを奪った。ローキックに合わせて組みつくとコーナーに押し込み、大内刈りを左右交互に仕掛けていく。粘るWINDYだったが、ついに局面はグラウンドへ。パンチの連打からバック、そして腕十字にトライしたV.Vだったが、ここでラウンド終了のゴングが鳴った。
最終2ラウンドは主導権争いがさらに激しさを増した。
V.Vが組み、テイクダウンする。すかさず立ち上がるWINDY。倒されれば立ち上がり、立たれればまた倒すという攻防が休む間もなく続く。終盤にはWINDYのヒザ蹴りが何度も顔面を襲ったが、それでもV.Vはしつこく相手の身体に食らいついていった。