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MLBで評価が急落する日本人内野手。
ツインズ西岡はレッテルを覆せるか?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2011/04/02 08:00
2番打者としての起用に対し「2番の選手が活躍するチームは本当に強いチームだと思っている。非常に頭を使っていかないと」と発言した西岡
さて、いよいよメジャーリーグが開幕である。
3月は震災で自分の親族と連絡が取れず(いまもそのままだ)、野球という気分ではなかったが、4月になって気持ちを切り替え、ようやく野球のことを考えられるようになった。
今季のメジャーリーグ、私にとって日本人選手でもっとも興味深いのは、ミネソタ・ツインズに移籍した西岡剛がどれだけチームに貢献できるかということだ。
西岡個人には関係ない話だが、アメリカのメディアの間には「日本人内野手って、使えねえだろ?」という価値観がすでに刷り込まれている。この考え方を払拭とまでは言わないが、変えさせることが可能かどうか、西岡の活躍次第という面があるのだ。
西岡の成績によって、将来、メジャーリーグを目指す日本人内野手の価値=年俸も変わってくるに違いない。
では、なぜ「日本人内野手はダメだ」とアメリカのメディアが感じてしまったのか、それを過去の日本人選手の成績から探ってみる。
日本での数字は当てにならない? 激しく落ち込むOPS。
メジャーリーグで、レギュラーとして定位置を獲得した日本人の内野手は過去3人いる。松井稼頭央、井口資仁、岩村明憲の面々だ。
アメリカで必ず指摘されるのが、日本の内野手は海を渡って移籍した時の「成績の落ち込み」が激しすぎるということだ。
打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | ||
---|---|---|---|---|---|
松井稼頭央 | 2003年西武 | .305 | .365 | .549 | .914 |
2004年メッツ | .272 | .331 | .396 | .727 | |
井口資仁 | 2004年ダイエー | .333 | .394 | .549 | .943 |
2005年ホワイトソックス | .278 | .342 | .438 | .780 | |
岩村明憲 | 2006年ヤクルト | .311 | .389 | .544 | .933 |
2007年デビルレイズ | .285 | .359 | .411 | .770 | |
西岡剛 | 2010年ロッテ | .346 | .423 | .482 | .904 |
2011年ツインズ |
松井稼頭央がメッツに移籍した2004年には日本人内野手への期待が高かった。なぜならそれに先だって移籍した外野手たち、イチロー、松井秀喜、そして新庄剛志も日本にいる時とは役割を変えながらも、チームに貢献していたからだ。
ところが内野陣は事情が違った。井口はホワイトソックス内での自分の役割を確保したものの、全員が主にOPS(出塁率と長打率の総和)で激しく落ち込み、それが回復することなくアメリカでのプレーを終えてしまった。