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MLBで評価が急落する日本人内野手。
ツインズ西岡はレッテルを覆せるか?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byAFLO
posted2011/04/02 08:00
2番打者としての起用に対し「2番の選手が活躍するチームは本当に強いチームだと思っている。非常に頭を使っていかないと」と発言した西岡
不慣れな天然芝が打撃に影響を与えると見る向きも。
OPSの数値を移籍前年の日本のものと比較してみると、松井稼頭央はマイナス.187、井口はマイナス.163、岩村もマイナス.163となる。
ちなみにイチローにしてもマイナス.161で、松井秀喜にいたってはマイナス.365にもなった(本塁打数が50本から16本に激減したことが大きい)。メジャーに移籍すると長打が減り、その分を出塁率でカバーしきれないのである。
しかし松井秀喜は2年目の2004年に前年比プラス.124となり、メジャーでの長いキャリアの礎を築いた。成績は落としても、2年目以降にアジャストメント、適応することが重要なのだが、内野手の場合は長い期間、安定的に活躍できないままだ。
その理由のひとつとして考えられるのが守備でのストレスが大きいためではないか、ということだ。人工芝から天然芝へのトランジッション、移行がうまく果たせず、それがプレー全体へと影響してしまうという見方がある。
西岡が先輩たちの轍を踏まずに活躍するためには……。
西岡がいいスタートを切るためには、4月の段階において守備面で安定することが大切である。そうすれば前向きなパフォーマンスが出来るはずだ。
しかし、数字の予想となると厳しい。過去のサンプルをみても、井口、岩村、そしてイチローがOPSでおよそマイナス.160となっている。サンプル数が少ないので言いきることは出来ないが、なにがしかの傾向を示しているかもしれない。
アメリカで人気の、成績予想サービス会社では、パ・リーグの首位打者を獲得した西岡の成績も、マイナス.160で予測しているところが多い。
打率 | 出塁率 | 長打率 | OPS | |
---|---|---|---|---|
ロトチャンプ | .283 | .336 | .400 | .736 |
カイロ | .273 | .346 | .400 | .746 |
ジップス | .281 | .337 | .403 | .740 |
ジェシー | .284 | .342 | .406 | .748 |
4社とも判で押したように打率は2割7分台から8分台、出塁率、長打率も似たような数字が並び、OPSは.740前後。この数字はどれくらいのものか? 日本でなじみの深い球団の二塁手と比べてみよう。