青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
マスターズは日本ゴルフ界の正念場。
石川遼は本当の信用を獲得できるか?
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2011/03/31 10:30
なかなかアメリカ修行の結果が出ない石川遼。日本人プロゴルファーの誰しもが夢見、そして苦戦するアメリカ・ゴルフ界への挑戦。その壁の高さは並大抵ではないだろう
1986年に男子ゴルフに世界ランキングが導入されてから、アーニー・エルスは通算で788週(15年以上!)もトップ10に居続けてきた。これはタイガー・ウッズさえ及ばない途方もない記録である。
世界1位にもこれまで9週間ついており、3月28日付けのランキングでは13位。いまだに世界のトップコンテンダーである“The Big Easy”ことエルスは、近年その存在感を増し続ける世界ランキングについてこう話している。
「最近は順位の入れ替わりが激しいから話題に上がることが多くなった。契約書にだって『年末に○位だったらいくら支払う』なんてことが書かれるぐらいだから、いいか悪いかは別にして、すごく重要なものになってきてるのは間違いない」
マスターズの出場条件変更で日本の賞金ランクでの優遇が廃止へ。
ゴルフ界の特別な1週間、マスターズが行われる4月の第1週が近づいてきた。
今年の大会に参加する4人の日本人選手は、アマチュアの松山英樹を除けば、石川遼も池田勇太も藤田寛之も「前年末の世界ランク50位以内」という資格を満たしての出場になる。
同じ条件はメジャーやWGCの多くが採用しているゴルフ界の“通行手形”のようなもの。来年の全米オープンは従来50位までだった出場枠を60位まで拡大し、代わりに「日本ツアーの前年賞金ランク上位2人」など各国ツアーの成績に基づく資格を排除する方針で、より世界ランク重視の姿勢を打ち出している。
さまざまな国をまたにかけてプレーする選手が増え、ツアー間の選手の横断が激しくなった今、こうした流れは止まりそうにない。
「世界ランキング」で日本ツアーは厚遇されてきたが……。
世界ランクは各選手が試合で稼いだポイントに基づいて算出され、ツアーのレベルに応じて1試合の優勝に与えられる得点は以下のように差がついている。
米ツアー、欧州ツアー=24点
日本ツアー、オーストラリアツアー=16点
アジアツアー、南アフリカツアー、米下部ツアー=14点
順位に応じて減算され、メジャーや各国のナショナルオープンではポイントが増える。日本ツアーは多くの有力選手を生み出す南アフリカをしのぎ、米、欧に次ぐ扱いを受けていることになる。これをどうとらえるかは人それぞれだろうが、この厚遇があってこそ日本での活躍が世界の大舞台に直結してきたのである。