青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER
大地震に直面する日本に向けて……。
石川遼はゴルフを通じて希望を届ける。
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAP/AFLO
posted2011/03/18 10:30
世界ゴルフ選手権シリーズ第2戦となるキャデラック選手権での石川遼。初日は7アンダーの2位と好発進だった石川だが、結局、通算1オーバー42位タイに終わった
未曾有の大惨事に直面してプロゴルファーがすべきこと、できることは一体なんなのだろうか。
東日本大震災が起きた3月11日、石川遼は米国のマイアミで行われていたWGC-キャデラック選手権に出場していた。
大会2日目の朝、目を覚ましてインターネットでニュースをチェックすると、飛び込んできたのは大地震の文字だった。まさかと思ったが、日本への電話もまったくつながらない。状況をのみ込めないまま不安は募るばかりだった。
しばらくすると幸いにも父・勝美さんからメールが届いた。「家族は大丈夫だからプレーに集中してほしい」。無事を知らせる内容で少しだけ胸をなで下ろした。
「スポーツの力で日本を勇気づけられれば」と石川は案じていた。
もちろん家族の安否が分かっただけですべてが解決したわけではない。プレーを終えた後に海外メディアに囲まれた石川はこう答えた。
「日本は今までにないくらい大変なことになってると思うので心配です。日本の国内ではスポーツが中断されているけど、ゴルフだけでなくサッカーであったり、海外で頑張っているスポーツの力で日本を勇気づけられればいいなと思った。そういう風に切り替えてやるしかないです」
毅然として質問を受けている様子ながらも、石川の表情は硬くこわばっていた。
宿舎に戻ってもニュースでは被災地の過酷な状況がつぶさに伝わってくる。米国のニュースで流れるのは特に悲惨な映像ばかり。
一晩たっても気持ちが鎮まるどころか、ショックは大きくなっていった。
日本の惨状をかえりみたときに、ひとつのバーディー、ひとつのナイスショットがどれほどの価値をもつのか。トーナメントでプレーし続けることに対して根本的な疑問が湧いたとしても不思議ではない。
彼らのプレーを取材していた筆者もそのような気持ちになった。