青春GOLF ――石川遼に密着! BACK NUMBER

石川遼、3度目のマスターズ総括。
自己最高位に到る19歳の「心技体」。
 

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雨宮圭吾

雨宮圭吾Keigo Amemiya

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posted2011/04/12 10:30

石川遼、3度目のマスターズ総括。自己最高位に到る19歳の「心技体」。<Number Web> photograph by KYODO

マスターズにおける自己最高位となる20位でフィニッシュした石川遼。東日本大震災への義援金は、賞金で約792万円、13バーディー1イーグルで140万円となり、合計で約932万円となった

 マスターズは自分が1年間積み上げてきたものを披露する最高の舞台であり、自分に足りないものを毎回突きつけられる試練の場である。

 あるいは、ゴルフの祭典と呼ばれる雰囲気を楽しめばいいじゃないか、という人もいるかもしれない。しかし、少なくとも石川遼にとってのマスターズというのは、まなじりを決して臨むような特別なものなのだ。

「このトーナメントに懸ける気持ちが人一倍強いという自覚はある。他の試合と一緒です、では正直片付けられない。これはもうバレバレだとは思うんですけど、昔からの憧れのトーナメントなので、それはしょうがない。そういう気持ちになることでいいプレーができないようなら、もうそれまでの選手だなと自分には言い聞かせてきた」

予選2日目15番ホールで発揮した鍛え上げられた“心”。

 毎年同じオーガスタ・ナショナルGCに世界のトッププロが集い、誰もが手を焼くシビアなコースと対峙するからこそ、その選手のもつ力量のすべてがあらわになる。

 3年連続3度目のマスターズに挑んだ石川の心技体は、今年も2日目のバックナインで試されることになった。

 2月からの米ツアーでは予選落ちが続いて思うような結果は出ていなかったが、オーガスタでの練習ラウンドを重ねるうちに、開幕前には「絶好調」と言えるまでに自信を取り戻していた。初日は自身初のアンダーパーをマークして24位。初めての予選通過は十分可能な位置で迎えた2日目だった。

 カットラインはイーブンパーか1オーバーという状況で、石川は難所のアーメンコーナーまでを通算2アンダーで切り抜けた。しかし、14番で1mもないパーパットを外し、ボギーを叩いてカットラインが近づく。同じホールでのボギーからバタバタと崩れていった1年前の再現のようだった。

 昨年はこのあたりから縮み上がってパットがことごとくショートしてしまったが、鍛え上げてきたはずの“心”が次の15番で発揮された。

 2.5mのバーディーチャンスは上りのストレートライン。

「今まで練習グリーンでたくさん打ってきたパット。それがマスターズの終盤でできなかったらこんなに悔しいことはない。どうしても入れたかった」

 気持ちを込めて打ったパットはショートするどころか、むしろ強すぎるぐらいの勢いでカップに沈んだ。

【次ページ】 「気持ちの強さというのは練習量と練習の質だと思う」

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