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創刊1周年を迎える
岩手県発のスポーツ誌。
~ブログで震災情報を募集中!~
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![菊地健二](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
菊地健二Kenji Kikuchi
photograph bySports Graphic Number
posted2011/03/21 08:00
![創刊1周年を迎える岩手県発のスポーツ誌。~ブログで震災情報を募集中!~<Number Web> photograph by Sports Graphic Number](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/5/5/700/img_557c61d4da96db4a535b8c42833dacbe265902.jpg)
『Standard』 発行 山口北州印刷株式会社 最新号Vol.6が発売中 定価700円(税込)
岩手スポーツマガジン「スタンダード」を紹介。岩手県が震災により
甚大な被害を受けている今、ブログを通じて安否情報の収集などの
支援活動を続ける同誌に光を当てるべく、改めてウェブで公開する。
2009年のセンバツ甲子園。大会屈指の好投手・菊池雄星を擁する花巻東高校は、全国の強豪校を次々となぎ倒し、躍進を続けていた。優勝旗が初めて白河の関を越え、岩手にやってくるのではないか。その期待は日増しに高まっていく。岩手県民は、突如出現したこの“祭り”に夢中になっていた。試合が始まれば、商店街からは人が消え、会社では仕事が一時中断される。老若男女を問わず、テレビで花巻東高校の試合にくぎ付けになった。夜ともなれば、即席の野球評論家が現れ、その日の試合が語られる。
岩手スポーツマガジン「スタンダード」の発刊の背景には、この花巻東高校の活躍が大きく関係している。日本が不況と言われる中、地方の置かれた状況はさらに厳しい。過疎化、高齢化、企業業績悪化……。挙げればきりがない。曇天が続く岩手に射し込んだ一筋の光に、どれだけの人が勇気づけられたことか、励まされたことか。スポーツに内在するとてつもないエネルギーに魅せられた人間が集まり、発刊に向けて動き出した。そして約半年の準備期間を経て、2010年4月15日に発刊の日を迎える。記念すべき第1号の表紙は、“スタンダード産みの親”と言える菊池雄星投手が飾った。隔月発行というサイクルで約1年が経過し、その節目となる今号では、ふたたび菊池雄星投手が表紙に登場。岩手を照らす“星”は、今も同様に故郷を照らし続けている。
スタッフのほとんどは、地元のライターとカメラマン。
スタンダードは、地元の印刷会社と広告会社が中心となって作られている。実際の制作を担当するのは、ほとんどが地元のライターとカメラマン。いわば、スポーツ雑誌の制作については素人同然の人間が集まり、この雑誌を作っている。
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ナンバーに取り上げていただきながら至極恐縮なのだが、スタンダードが生き抜くために第一に考えたことは「ナンバーと同じ土俵で勝負をしない」ということだった。スポーツの知識も浅く、スキルもナンバースタッフに比べれば遠く及ばない。それでも店頭では同じスポーツ書籍のコーナーに置かれ、記事内容を比較される。だからこそ、岩手へのこだわりを貫いてきた。強豪チームだけでなく、キラリと光るものがあれば、実績に関係なく取材対象としてきた。ナンバーの手が及ばないであろう素材を探すことが生きる術だったとも言える。