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「人生をリセットしたい…」大学受験に2度失敗…落胆した「普通のサッカー少年」の思い付き「全米No.1競技でプロになろう」その後の“まさかの軌跡”
posted2025/02/10 11:00

現在、NCAA1部のハワイ大学アメリカンフットボール部で正キッカーを務める26歳の松澤寛政。20歳まで縁のなかった競技でプロを目指した破天荒な理由は…?
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北川直樹Naoki Kitagawa
photograph by
Naoki Kitagawa
2024年のシーズン。松澤寛政は、ついに思い描いてきた夢のスタートラインに立った。
アメリカのカレッジフットボール最高峰に位置するNCAA1部のハワイ大学に加入して2年目。レッドシャツ(※公式戦には出場しない練習生)からレギュラーに昇格した松澤は、Kとしてフィールドゴールを12回、タッチダウン後のトライフォーポイントを32回決めて、チームに確かな貢献を果たした。
当初は奨学金のない形での入部だったが、昨年の功績を認められ、来季からは授業料だけでなく居住費なども賄える「フルスカラシップ」の受給も決まった。日本人初のNFL選手を「本気で目指している」と公言する松澤の勝負は、現実的な位置にまでやってきている。
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一方で、ここまでの道のりは、常識では考え難いチャレンジの連続でもあった。
高校まではサッカー少年も…大学受験に失敗
幼少からサッカーに親しんできた松澤は、千葉・幕張総合高校でフォワードとして活躍していた。
その反面、高校最後の千葉県大会のベスト8で敗れると、その実力面で「プロサッカー選手」という夢が現実的ではないことにも気づきはじめた。それでも、まずは「大学でサッカーをする」ことを目標に、一般入学者にも入部の門戸が開かれている大学を目指した。
しかし、受験に失敗する。翌年もうまくいかなかった。そこで松澤は、人生の目標を見失った。
「大学もサッカーも上手くいかなくて。何をすればいいのか全く分からなくなりました」
周囲の友人らが大学生活を楽しむ中で、何をするでもなく、無為に過ごす日が続いた。
ただ、家族の仲は良かった。そんな状態の松澤に対して、両親が何か答えを求めることはなかったという。