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「暴投ばっかりでした…エラーは20個以上」名手・松井稼頭央がいま明かす西武入団1年目の秘話…なぜ希代のショートストップになれたのか?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byYuki Suenaga
posted2025/01/24 17:00
昨季途中までライオンズの監督を務めた松井稼頭央
「奈良原さん、ボールを捕ってから、いつ投げてるの? というくらい一連の動作が早くて。手品みたいでしたよ。自分の場合、PL学園の時から先輩たちのプレーを観察して、技を盗もうと思ってました。プロでも同じです。コーチから丁寧に教えてもらう機会はないので、自分で観察して試すしかない。観察が上達につながったかな」
奈良原はじめ、最高の手本が間近にいたことが守備力を急成長させた。入団2年目は69試合に出場、3年目にはレギュラーに定着。そして4年目の'97年に135試合にフル出場し、ゴールデングラブ賞を初受賞し、続く'98年にも連続で受賞した。一軍で活躍すること、それは他球団の名手たちの技を見る機会につながった。
「'97年にはロッテに小坂(誠)君が入ってきて、びっくりするほど上手かったですね。'97年、'98年と僕がゴールデングラブ賞をもらいましたけど、彼のプレーを観察していると、学ぶことばかりでした」
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守備からは離れるが、松井はオリックスで全盛期を迎えていたイチローの打撃練習の観察も欠かさなかったという。
「何度も見ていると、一流と言われる選手ほど、基本を大切にしていることが分かってきます。内野手にとって大切なのは、アウトに取れるゴロを丁寧にさばいて、一塁に投げてアウトにすること。それが打者を打ち取った投手に対する責任です」
守備とは、派手なプレーのコンテストを開催する場ではない。当たり前のプレーを続けて、チームとして27個のアウトを確実に積み上げていくことが重要なのだ。
「要は、アウトにする確率を高める作業をするわけです。そのためには基本動作、技術だけでなく、試合の状況を読む能力も必要になってきます」
松井が教えるショートの「秘密」
一塁にランナーがいるとして、マウンドに立つ投手の持ち球はなにか? 相手打者はカウントによってどんな打撃をするのか。そうした情報を頭に入れ、次のプレーを想像し、推理するのが松井のスタイルだった。
「データというよりも投手や打者の傾向や癖を頭に入れておいて、あらゆる打球のイメージを持って準備を進める。それがアウトを増やすコツです。ずっと考えながらやってました」
さらに松井は、ファンにはなかなか見えづらいショートの「秘密」を教えてくれた。
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