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小泉進次郎の“野球たとえ発言”に違和感…本当に意味は適切か? 大谷翔平と総裁選「勝敗の行方は“50-50”」「一本足打法から二刀流へ」検証結果が出た…
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/05 06:00
使われ方は適切か? 小泉進次郎が発言してきた“野球たとえ”を検証した
いずれにしても、これらの発言は多くの媒体で見出しになっている。進次郎氏は、何を言えばマスコミに大きく取り上げられるかを熟知しているのだ。政治家に必要な能力の1つである「頭の回転の速さ」が備わっていることは間違いない。
「自民党は国会議員200人。イチローと同じように…」
思い返せば、進次郎氏は自民党が野党に下った2009年の総選挙で初当選。その直後、読売系列のスポーツ報知から巨人のリーグ3連覇についてコメントを求められ、こう話した。
〈おめでとうございます! 今の政界でいえば巨人にあたるのは民主党。自民党も巨人のような層の厚さで再出発を目指します〉(2009年9月24日付/スポーツ報知)
文章を解読してみよう。
二文目「今の政界でいえば巨人にあたるのは民主党」→「巨人=民主党」
三文目「自民党も巨人のような層の厚さで再出発を目指します」→「自民党=巨人のような層の厚さを目指す」
と解釈できる。イコールを繋いでいくと、進次郎氏の言いたいことが見えてくる。
「自民党は民主党のような層の厚さを目指す」
初めからこう言えばいいのではないだろうか。ただ、それでは普通のコメントでつまらない。媒体や周囲の状況を考えた上で、サービス精神で「野球たとえ」を口にしているのだ。初登院の日には100人を超える報道陣に取り囲まれ、こう言った。
〈自民党は国会議員200人。イチローと同じように、200で終わりではなく、200から始まる〉(2009年9月16日付/朝日新聞夕刊)
新人議員にもかかわらず、党全体を背負うかのような発言で異彩を放っている。なんだか意味はよくわからないが、「やってくれるんじゃないか」という期待感は漂わせている。
ただ、どの発言も「野球たとえ」で聴衆を惹き付けてはいるが、政治家として具体的に何をどうするかの言及はあまりない。国民はここに不安を感じる。
代表的な例は、〈おぼろげながら浮かんできたんです。46という数字が〉(2021年4月23日/TBS系『NEWS23』/以下同)という環境大臣時代の発言だろう。この時、政府は2030年度の温室効果ガス排出を46%削減(2013年度比)という目標を掲げていた。
彼の言葉に、聞き手の小川彩佳アナウンサーは困惑した表情を浮かべる。その後、進次郎氏は〈意欲的な目標を設定したことを評価せず。で、一方で現実的なものを出すと「何かそれって低いね」って〉と語り始め、こんなたとえを出した。
〈だけど、オリンピック目指す時に「金メダル目指します」と言って、その結果銅メダルだった時に非難しますかね〉