プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「普通にやったら負ける」DeNAを激変させた選手ミーティング…筒香嘉智が提案、牧秀悟が招集、あのベテランの発言で「ムードがガラッと変わった」
posted2024/11/04 18:40
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
一気に頂点に駆け上がった。
シーズン3位のDeNAが日本一へと上り詰めた下剋上。最後は圧勝でパ・リーグの王者・ソフトバンクをなぎ倒した。
5回に一挙7点で勝負を決めた
試合を決めたのは5回だった。
ソフトバンクの攻撃を2番手の濵口遥大投手が3人でピシャリと抑える。マウンドで左手を振って吠えた左腕が、ベンチの前まで戻ってくると両手で3度「来いっ! 来いっ! 来いっ!」とファンを煽るパフォーマンス。それに応えてスタンドのブルーが揺れたのを合図に打線がマウンドのカーター・スチュワートjr.投手に襲いかかった。
1死から戸柱恭孝捕手が中前打で出塁。森敬斗内野手が歩いた一、二塁から濱口の代打・佐野恵太外野手の右前安打で満塁とすると、制球の定まらないスチュワートから1番の桑原将志外野手が押し出し四球を選んでまず1点。さらに梶原昂希外野手が中前タイムリーを放ってこの回2点目が入る。
そして4番手の岩井俊介投手からタイラー・オースティン内野手が押し出し死球を奪った直後である。5番・筒香嘉智外野手が初球の150kmのストレートを叩いて走者一掃の3点二塁打。さらに宮崎敏郎内野手の二塁打も続いてこの回一挙7点を奪って勝負を決めた。
チームにとっては26年ぶりの日本一の歓喜。ナインの手で5度、横浜の空に舞った三浦監督も男泣きに泣いた。
連敗スタート。
「やっぱり……」
「どうせ……」
戦前の予想通りのソフトバンクの圧勝劇にべイスターズファンにもそんな空気が流れた第2戦の試合後。キャプテン・牧が音頭をとって選手だけのミーテイングが行われた。
そこで檄を飛ばしたのは桑原ら2017年の敗北を知るベテラン選手たちだった。
「このままだったら4連敗で終わるぞ。もっと気持ちを一つにして戦おう」
桑原らの必死の訴えに若手が頷く。
このままじゃまずいという雰囲気
そして乗り込んだ敵地・ペイペイドーム福岡。第3戦の試合前のロッカールームだった。