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広島カープが月間20敗で“歴史的大失速”「分岐点は守護神・栗林良吏の大炎上ではなく…」レジェンドOBが解説する「それ以前からあった問題」
posted2024/10/08 11:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
JIJI PRESS
パリ五輪が閉幕し、高校野球が盛り上がっていた8月下旬。酷暑の中でもカープファンは実りの秋への思いを高めていたはずだ。番記者たちも「優勝マジック点灯はいつか」という話題で盛り上がっていた。ところがここから悪夢が始まった。4連敗、6連敗、また4連敗……戦えど戦えど白星が遠い。9月突入時に首位に立っていたチームがBクラスになるのはプロ野球史上初めて。歴史的大失速の原因は一体何だったのか?
「要因としては沢山ありますが、ひと言で言えば“ガス欠”ですよね。シーズン最終盤まで戦えるスタミナが切れて、少しずつパフォーマンスが落ちていったということだと思います」
そう解説するのはレジェンドO Bの小早川氏だ。
「天王山」で守護神が大炎上も
巨人との優勝争いという観点で見れば、分岐点となったのは9月11日、マツダスタジアムでの直接対決だろう。2点リードで迎えた9回、大歓声に押されマウンドに上がった守護神の栗林良吏が四死球を足掛かりに逆転を許し、打者6人に対して一つもアウトを取れないまま6失点KO。後続のリリーフも打ち込まれてこの回だけで9点を奪われて悲劇的な敗戦を喫した。
「あの試合を取れていれば、浮上するきっかけにはなったでしょう。確かにあの試合の負けは痛かったです。ただ、チームとしての失速の原因を考えると、それ以前から問題はありました。一番の課題は攻撃面。象徴的だったのは“日替わり4番”でしょう。4番を担う主砲がいないので、対戦相手や先発投手に合わせて試合ごとにクリーンナップを組んだ。もちろん、それも戦法としてはいいのですが、やはり大事な時期になると本当に頼りになる選手が不在で機能しなくなっていました」