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井上尚弥の“エグい右”でネリのアゴがゆがみ…決定的瞬間をとらえたカメラマンに聞く“恐怖のKOパンチ”のウラ側「あんな倒れ方になるのか…」―2024年上半期読まれた記事

posted2024/09/20 06:01

 
井上尚弥の“エグい右”でネリのアゴがゆがみ…決定的瞬間をとらえたカメラマンに聞く“恐怖のKOパンチ”のウラ側「あんな倒れ方になるのか…」―2024年上半期読まれた記事<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

衝撃的なTKOでルイス・ネリを沈め、東京ドームを熱狂させた井上尚弥。KOパンチの決定的瞬間を撮影した福田直樹氏に話を聞いた

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福田直樹

福田直樹Naoki Fukuda

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Naoki Fukuda

2024年の期間内(対象:2024年5月~2024年8月)まで、NumberWebで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。井上尚弥部門の第4位は、こちら!(初公開日 2024年5月10日/肩書などはすべて当時)。

5月6日、ルイス・ネリを衝撃的なTKOで沈めた井上尚弥。まさかのダウンを奪われながらも完璧なリカバリーで窮地を脱した4団体統一王者は、規格外の破壊力を東京ドームの大観衆に見せつけた。その決定的瞬間をリングサイドで撮影したカメラマンが語る、“怪物の覚醒”とは。全米ボクシング記者協会の最優秀写真賞を4度受賞し、“パンチを予見する男”と称される福田直樹氏に、歴史的な一戦を振り返ってもらった。

試合開始直前、リングサイドで感じた“異変”

 今回は試合開始前から、井上尚弥選手のかすかな“異変”をなんとなく感じていました。具体的な違いとしては、リングインしたあと、いつもと比べてウォームアップの動きが大きかったこと。何度もステップを踏んで上体を揺らしたり、大きく腕を回したり……。本人が試合後に語っていたように、東京ドームという舞台で「派手なものを見せたい」とすこし気負っていた部分があったのかもしれません。

 対するルイス・ネリ選手は、想定よりもいいコンディションだったと思います。試合当日は500gアンダーの影響(計量を54.8kgでパス)をほとんど感じさせませんでした。特に左フックは「もらったら危ないな」と思わせる迫力がありましたね。立ち上がりは井上選手がやや大振りだったこともあって、ネリ選手もかなり前に出てきた。戦前のイメージ通り、「やっぱり攻めてくるんだな」と思って見ていました。

 井上選手はネリ対策として左右のショートを相当練習していたように思います。それを活かすために、“撒き餌”として大きなスイングの右フックを最初に出したのではないでしょうか。たしかに力みや気負いもあったかもしれませんが、映像を見返すと、1ラウンドはあえて“大きなパンチ”を見せていたのではないか、という印象を受けました。

「初めてのダウンとは思えない」井上尚弥の冷静さ

 井上選手のダウンシーンは、本命の左のショートアッパーから右につなげようとした瞬間に、ネリ選手の左フックがうまくヒットした形でしたね。公開練習でも感じたことですが、ネリ選手の外からのパンチは軌道が独特で、かつ“微妙に遅い”のでタイミングも取りにくい。それを試合の初っ端にもらったこともあって、ダウンに至ってしまった。

【次ページ】 ダウンを喫したことで急激にネリを“学習”した

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