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“トライアウト廃止”提案は「現役ドラフト」も要因か…大竹耕太郎に細川成也、水谷瞬の活躍と戦力外「二軍で塩漬け逸材」新天地の成績は?
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/08/27 17:34
廃止提案が出たという12球団合同トライアウト(2022年撮影)。「現役ドラフト」の成功例が出ていることも要因なのかもしれない
大竹は早稲田大から育成でソフトバント入団後、一時は先発を担った。しかし2020年以降低迷していた。阪神に移籍後は、ローテの一角を占めて12勝。この年ブレークし新人王とMVPを獲得した村上頌樹とともに阪神の18年ぶりの優勝に貢献した。今季はやや防御率を落としたが、先発投手として活躍している。
細川は、明秀日立からDeNAのドラフト5位で入団した外野手。佐野恵太、桑原将志などの陰に隠れて出場機会に恵まれなかった。
しかし中日に移籍後は、広いバンテリンドームにも適応して活躍。昨年7月以降はやや打率が下落したが、今季は3割近くの打率をキープ。すっかり中日の中軸打者になった。
現役ドラフト1年目にしてローテを担う投手と規定打席をクリアして活躍する野手が1人ずつ出たのは予想以上の収穫だった。
一方で現役ドラフト移籍1年で戦力外になったケースも
その一方で、中日からDeNAに移籍した笠原祥太郎は、昨年限りで戦力外になり、今年は出身地新潟のファームリーグ球団、オイシックス新潟に移籍している。またロッテからヤクルトに移籍した成田翔、ヤクルトからオリックスに移籍した渡邉大樹、広島から楽天に移籍した正隨優弥も1年で退団している。
現役ドラフトで移籍する選手の多くは、少なくとも数年は球団に在籍し、一定の評価を得ている。だから移籍先では「即戦力」とみなされる一方で、評価が決まるまでのスパンも短く、結果が早く出るのが特徴だ。
活躍すれば一躍主力になれる代わりに、ダメなら戦力外になるのも早い。ドラスティックだが、よく言われる「ファームで塩漬け」になるよりも、評価がはっきり定まる方が、選手にも球団にも良いのではないか。
2年目の指名選手は明らかに“積極起用”されている
続いて、2年目の現役ドラフトで新天地に移った選手たちの今季成績を見ていこう。
〈2023年第2回現役ドラフト〉
・漆原大晟/投27歳(オ→神)
24年/35登0勝4敗0S5H31.2回 率3.41
・内間拓馬/投25歳(楽→広)
24年/一軍出場なし
・佐々木千隼/投29歳(ロ→De)
24年/19登0勝0敗0S2H27.1回 率1.65
・馬場皐輔/投28歳(神→巨)
24年/1登0勝0敗0SV0HD0.2回 率0.00
・北村拓己/内28歳(巨→ヤ)
24年/47試37打5安1本4点2盗 率.135
・梅野雄吾/投26歳(ヤ→中)
24年/18登1勝0敗0S2H21.2回 率4.15
・鈴木博志/投26歳(中→オ)
24年/24登0勝0敗0S8H29.1回 率1.84
・愛斗/外24歳(西→ロ)
24年/37試54打11安0本2点0盗 率.204
・長谷川威展/投24歳(日→SB)
24年/25登4勝0敗0S2H21.1回 率2.53
・櫻井周斗/投24歳(De→楽)
24年/8登0勝0敗0S0H10.2回 率8.44
・中村祐太/投28歳(広→西)
24年/25登0勝1敗0S0H29回 率3.10
・水谷瞬/外 22歳(SB→日)
24年/70試243打74安5本31点1盗 率.305
各球団が昨年の経験から現役ドラフトの活用法を学習したのか、即戦力タイプの選手を獲得し、翌年の試合ですぐに起用しているのが目立つ。
最も目を引くのは水谷だが、そのほかの選手も
今季、最も目を引くのが、ソフトバンクから日本ハムに移籍した水谷瞬だろう。