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なぜ古豪は甲子園から「姿を消した」のか…76年前に夏連覇、元祖“甲子園の土”の名門・小倉高校が半世紀無縁の聖地を今真剣に目指すわけ 

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内田勝治

内田勝治Katsuharu Uchida

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posted2024/08/20 11:01

なぜ古豪は甲子園から「姿を消した」のか…76年前に夏連覇、元祖“甲子園の土”の名門・小倉高校が半世紀無縁の聖地を今真剣に目指すわけ<Number Web> photograph by Katsuharu Uchida

夏2連覇の記念碑の前に立つ中島監督。今は県内の進学校と認識されることのほうが多い

 今年4月には、小倉東で監督を務めていたOBの髙橋渉先生が部長に就任。春から新基準の低反発バットが導入されたこともあり、1死三塁のケースからゴロを転がして1点をもぎ取る打撃を追求していった。

古豪復活は成るか?

 しかし、そう簡単に結果が出るほど、激戦区は甘くない。今夏の福岡大会では、2回戦で水産を8-3で破り初戦突破も、3回戦で豊国学園に1-3で敗れ、3年生の短い夏は終わりを告げた。ただ、名門復活への道のりは、まだ始まったばかりだ。新チームの主将に指名された勝木大生内野手(2年)は、力強く前を向く。

「甲子園で優勝という凄い実績を残された先輩方の伝統を受け継ぎ、プレー以外でも返事や全力疾走、挨拶などをしっかりと徹底していきたいです。近年は県大会(16強)にも出られていない状況ですが、秋も夏もしっかりと勝ち上がって、甲子園に出場できるように頑張っていきます」

 青天の霹靂だった監督就任から、1年が過ぎた。中島監督は、無意識に左胸のシンボルに目をやる。課せられた使命は、自身が一番分かっている。

「多くの人から、小倉が弱いと面白くない、と言っていただくことが多いので、意気に感じながらやらせてもらっています。OB会や後援会の支援も頂きながら、凄くいい環境で、選手も昔と変わらず一生懸命やっています。何とか伸ばしてやりながら、北九州市の元気のために頑張りたいなという思いです」

 春11回、夏10回の甲子園出場は、福岡でいまだ最多を誇る。若きOB監督の就任で、半世紀近く遠ざかっている甲子園を狙う機は熟した。古豪復活へ。100年を超えた聖地は、小倉の帰還を心待ちにしている。

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