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「涙する姿は痛々しかった…」松山英樹“笑顔の銅メダル”と対照的だった山下美夢有の初五輪…4年後は男女混合団体戦も?「メダルのチャンス増える」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byKYODO
posted2024/08/14 06:00
小林浩美会長(右)に労われ、涙を流す山下美夢有(23歳)
しかし、どうしても手に入れたいと思うものは、追いかけすぎると逃げていく。マスターズ覇者で百戦錬磨の松山は「押し」と「引き」の絶妙な塩梅が求められることをよく知っていたはずである。
だからこそ、パリ五輪で見せた彼の戦いぶりは、メダルに手を伸ばして掴み取ろうとするのではなく、淡々とプレーして着実にスコアを積み上げ、静かにメダルににじり寄るようなゴルフだった。
初日から首位発進した松山は、しかし2日目の18番では池に落としてダブルボギー。3日目はパットに苦しみ、4位タイへ後退。松山はメダルから遠のいたかに見られていた。
しかし、最終日は首位を走っていたジョン・ラームやザンダー・シャウフェレ、猛チャージをかけてきたローリー・マキロイらが、ラフや池に苦しんで自滅する波乱があった。
その中で、ボギーを1つも叩かなかった米国のスコッティ・シェフラーが通算19アンダーで金メダルを獲得。1つボギーを喫したら2倍3倍のバーディーを奪っていった英国のトミー・フリートウッドが通算18アンダーで銀メダルを手に入れた。
そして、シェフラー同様、ボギーフリーで回った松山が、通算17アンダーとして、東京五輪で獲り損なった銅メダルを手に入れ、雪辱を果たした。
小さなピンチには何度か見舞われた松山だが、この日の彼にはラック(幸運)もあった。そして何より、冷静な判断力と実行力、何にも動じない精神力があったからこそ、ピンチをチャンスに変えることができた。
攻撃的なゴルフではなく、着実に前進し続ける静かな攻めで、彼はメダルを手に入れ、明るい笑顔を輝かせた。
アグレッシブだった山下美夢有
そんな松山とは対照的に、女子ゴルフ最終日の山下のゴルフには、アグレッシブにメダルを獲りに行く「押し」の強さが溢れ出た。
やはり波乱から始まった最終日。首位タイで出たニュージーランドのリディア・コーとスイスのモーガン・メトローがボギー発進し、2番でバーディーを奪った山下が彼女たちとともに首位に並んだ。