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フランスはパリ五輪開会式をどう見たか?「魔法のよう」絶賛する新聞、「汚らわしい」激怒する右翼…開幕前の無関心→五輪一色の世論を現地報告
posted2024/07/30 06:02
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広岡裕児Yuji Hirooka
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代表撮影
開会式まであと1時間余り、朝からの雨は止んだが、曇り空が重くのしかかっている。オステルリッツ橋の上流には、選手団が乗り込む船が停泊している。だが、何の飾りもなく、人もいない。何の華やぎもない。警備の警官や兵士の姿だけが目立つ。
前日、7月25日のBFMTV発表の世論調査では、47%がオリンピックに「無関心」で、22%が「懐疑的」だった。
しかし、それが開会式で一気に変わった。
手のひら返しで絶賛したフランス各紙
「息を呑むような」――翌27日の朝の「大衆紙」〈ル・パリジャン〉(ちなみにパリ地方以外では〈オージュールドユイ〉という紙名だ)1面の大見出しである。これでもまだ足りないといわんばかりに、タブロイドの35面に亘ってオリンピック特集、うち23面が開会式関連記事だった。
社説にあたる編集部論説では「伝統と現代性が融合した、フランス文化のまばゆいばかりの万華鏡」と評した。
他の新聞も「竜巻のような勢いで」〈リベラシオン〉、「マジック(魔法のような)!」〈ル・モンド〉、「パリ2024、皆舞台へ!」〈ル・フィガロ〉と軒並み絶賛した。
〈ル・フィガロ〉だけは、他紙と違って手放しの称賛ではなく「驚きが一杯、しかし、しばしば綻び」という。だが、編集部論説を見ると、順序とか一貫性についての疑問はあるにせよ、「すべての嗜好に合うものがあった」という。
保守系の同紙ならば、「首を持つ王妃」などに手厳しい批判をしてくるかと思ったが、「必要だったか?」という疑問を呈している程度であった。なお、私は個人的には、メタルバンドGojiraの演奏と歌で十分に力があり、むしろ邪魔だったと思うが。