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「親子ゲンカあまりない」「恋のほうが大人」“金メダルに恋した14歳”スケボー吉沢恋って何者? 父親が明かす“中3の素顔”「2年前スケボーやめるって…」
posted2024/07/30 11:03
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
AFLO
五輪の魔物なんてどこへやら。14歳の金メダリストは言った。
「世界中の人たちがひとつになってスポーツに向き合っていけるところが楽しいなって感じたし、これからもいろんな人たちと滑って楽しくしていきたいなと思います」
開会式翌日の7月27日にまさかの敗戦が相次いだ日本選手団。重苦しいムードが漂い始めていたパリ五輪で、吉沢恋は中世の処刑地に作られたスケートパークを軽やかに滑り回って金メダルを手にした。
「もうスケボーやめるから、テニス部に申し込んだ」
その出発点は3年前にあった。
小学6年生だった吉沢は、東京オリンピックを見ながら「あっ」と思った。大して年の変わらない金メダリストが勝負技として繰り出していたのは、自分がすでにやったことのある技だったからだ。
「ビッグスピン・ボードスライド」。
東京オリンピック会場のモンスター級のセクションで決めるのと、街中のパークで決めるのでは難易度に大きな差があるものの、少女の抱く夢に細かいことは関係がない。金メダリストと同じことができる。その思いはオリンピックの舞台を本格的に目指すための支えになった。
とはいえ、すべてが順風満帆に進んだわけではない。
中学に入学して3日目、家に帰ってきた吉沢は父の功さんに言った。
「もうスケートボードやめるから、テニス部に申し込んできた」
転べば痛い、血が出る、足が傷だらけになる。その頃まではやらされている感もあった。
「恋のほうが大人」「親子でケンカあまりない」
ただ、父はこう言って説得した。