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「40人中39位」で滑り込み内定…女子ハードル田中佑美(25歳)に見る「モデル挑戦だけじゃない」“五輪戦略”の重要性「標準記録はマストではない」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byAsami Enomoto

posted2024/07/15 06:00

「40人中39位」で滑り込み内定…女子ハードル田中佑美(25歳)に見る「モデル挑戦だけじゃない」“五輪戦略”の重要性「標準記録はマストではない」<Number Web> photograph by Asami Enomoto

日本選手権では0.03秒差で2位に敗れた田中佑美。標準記録突破はならなかったが、ワールドランキングでの五輪参加が決定した

 国内の日本グランプリシリーズでも、織田記念や静岡国際はC、布勢スプリントはDなどと大会によってカテゴリーは異なる。同じ順位ならばグレードが高いカテゴリーのほうが高いスコアが得られるという仕組みになっている。

 したがって、ワールドランキングで五輪出場を目論むなら、戦略的に試合のスケジュールを組むことが重要になる。もちろん高いカテゴリーの大会に挑んで、結果が悪ければ元も子もないが……。

「今の選考要項では参加標準記録はマストではない」

「国内シーズンで焦らなくていいように、(カテゴリーの高い試合に出場するために)ヨーロッパとオーストラリアを回りました。今の選考要項では参加標準記録はマストではないので、挑戦的に標準記録を狙っていくよりは、ついてくればいいな、くらいに考えていた。もちろん(世界と戦うには)そのレベルの記録を出さないといけないと思っているんですけど」

 遮二無二、標準記録を狙いにいっても、かえってそれ自体がプレッシャーにもなる。最初から計画的にポイント獲得を狙うことで、仮に調子が上がり切らなくても安定して五輪出場を狙える。その戦略は明快だった。  

 田中は参加標準記録(12秒77)を視野に入れつつも、ワールドランキングでの五輪出場を目指して、海外で試合を重ねてきた。田中が、ワールドランキングの有効期間内(2023年7月1日から2024年6月30日)に出場したレースとカテゴリーは以下の通り。

〈※()内のアルファベットがWAのカテゴリー。〉

 2023年

 ・7月20日 Spitzen Leichathletik Luzern, Stadion Allmend, Luzern(B)
 ・7月22日 Meeting Madrid, Estadio Vallehermoso, Madrid(B)
 ・8月22日 ブダペスト世界選手権(OW)
 ・9月24日 全日本実業団対抗選手権(F)
 ・10月1日 アジア大会(A)

 2024年

 ・2月2日 Elite Indoor Track Miramas Meeting, Stadium Miramas Métropole, Miramas (B)
 ・2月7日 Mondeville Meeting, Halle Michel d'Ornano, Mondeville (B)
 ・2月15日 Maurie Plant Meet, Lakeside Stadium, Melbourne(A)
 ・4月29日 織田記念(C)
 ・5月12日 木南記念(C)
 ・5月19日 セイコーゴールデングランプリ陸上(A)
 ・6月30日 日本選手権(B)

 スコアが高いほうから5試合(※長距離や競歩、混成は2~3試合)の平均値でランキングが決まるが、上記のように田中は海外のAないしBカテゴリーの大会に意識的に多く出場している。

 そして、着実にポイントを重ね、出場枠の「40」に対して、だいぶ余裕をもって今シーズンを迎えたはずだった。

【次ページ】 急なランキング変動…五輪は最後まで予断を許さず

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