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「卓球が面白くなくなって」伊藤美誠が明かす“パリ五輪選考”へのジレンマ「小学生に勝っても中国人選手に勝ってもポイント同じは変だなと…」
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/09 11:03
パリ五輪選考で落選し、3大会連続の五輪出場は叶わなかった伊藤美誠。選考方法についての疑問もふくめてNumberのインタビューに答えた
若手の台頭にも苦しめられた。かつては伊藤が平野早矢香、福原愛や石川佳純を追い越そうとすることで勢力図を塗り替え、日本卓球界の力を押し上げていった。
歴史の巡り合わせか、今、卓球界では9年前と同じことが起きて、伊藤は追われる側になった。
「私もそうだったんですけど15、16歳って、何のプレッシャーもないし、思い切って立ち向かっていくだけなので、すごくやりやすいんです。でも、今は対戦相手を見て、変に考えすぎてしまうことがあって……。今の10代の選手は体が大きいし、体格もしっかりしている。25歳ぐらいの選手といっていいぐらい完成度が高い。ミスをしなくなったし、卓球が以前とぜんぜん違う。ランキングや年齢に関係なく、誰が勝ってもおかしくないと思います」
コーチ不在になり、余裕が生まれるも…
苦戦する状況を打開すべく、試合や練習への取り組み方を変えた。大きく変化したのは、ベンチコーチの松崎太佑が外れたことだ。東京五輪時は、チームであり、家族とまで言い切っていた“チーム美誠”の頭脳が昨年の前期に姿を消した。
「試合でうまくいかなくなったり、負けている時、私がカッとなってベンチで言い合うことがよくあったんです。でも、そこで言い合うんじゃなくて、負けている時にこそ冷静になりたいと思っていました。コーチがいた頃は最終判断で迷った時、指示を聞いて決断していたところがあったんです。でも、そこを自分で決断したいというのはずっと思っていたことでもあったんです。コーチがいなくなって逆に迷わずに自分のやりたいようにやれる、自由に羽ばたけるみたいな感じでした。接戦の中で自分がイメージできないこともあるんですが、しばらくはこのスタイルでやって行こうと思っています」
コーチ不在になり、周囲を見る余裕が生まれ、ひとりで戦況を分析するようになった。だが、ある試合で接戦になった際、中国人選手はコーチの言葉を聞いて落ち着きを取り戻していたが、伊藤はため息をつき、苛立ち、落ち着かない仕草を見せたことがあった。
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