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「美誠ちゃんがいたから」チームメイトが語った“伊藤美誠への感謝”…「私はリザーブに向かない」発言後、世界卓球で見せた“支える姿”の意味
posted2024/02/27 11:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
AFLO
2月24日、世界卓球選手権(団体戦)の女子決勝が行われ、日本は2-3と中国にあと一歩と迫る激闘を演じた。長年、高い壁に跳ね返されてきた歴史を思えば、敗れたとはいえ大きな一歩を踏み出したと言える。
この大会で、話題を集めた光景があった。伊藤美誠が試合をしている選手にアドバイスする姿だ。
日本は早田ひな、平野美宇、張本美和、伊藤と木原美悠の5名でチームが構成されていた。このうち3人が試合に臨む形式だ。
伊藤はグループリーグのイラン戦、準々決勝のルーマニア戦に出場、それぞれ1試合を戦い、どちらも勝利している。
注目を集めた、伊藤美誠の“ベンチの姿”
その伊藤が大きく注目されたのは、準決勝の香港戦、決勝の中国戦だった。コートサイドの椅子に座ってチームメイトの戦いを見守り、応援しながらタイムアウトになれば早田や平野、張本にアドバイスをおくった。選手たちも主に伊藤に目を向け、伊藤の言葉に耳を傾けやりとりしていたのだ。
試合を見守り応援している最中は、ときに笑顔を浮かべ、ときに大きく頷き、好プレーが出ればすぐさま「すごい!」というように大きな反応を示した。
タイムアウトでアドバイスする際も穏やかにそして柔らかな表情で語りかけた。
そしてアドバイスそのものも、聞いている選手の反応を見れば的確でありしっかり届いているようだった。
決勝の中国戦で第1試合の張本が劣勢に立たされると、「接戦になると、めっちゃ切ってくるから、そこで強くなくていいから一本入れてみるのもありかも」など助言を続けた。