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平野美宇の妹・亜子(17)が歩む文武両道…見守る母が発達障害を「隠すことではない」と公にする理由《張本智和の妹と対戦》
posted2022/02/02 11:01
text by
高樹ミナMina Takagi
photograph by
Naoki Nishimura/AFLO SPORT
卓球界の新年は「天皇杯・皇后杯 2022年全日本卓球選手権大会」(以下、全日本選手権)で幕を開けた。今年は4年ぶりに大阪から東京に舞台を戻し、1月24日から30日まで東京体育館で7日間にわたる熱戦が繰り広げられた。
東京五輪日本代表ら有名選手の活躍は大々的に報じられるが、実際はそれよりもっと多くの学生や社会人がプロとも肩を並べて卓球日本一を競う。
例えば、大会3日目のジュニア女子シングルス5回戦で注目を集めた「東京五輪メダリストの妹対決」も全日本選手権の多様性を映し出す一戦だった。
美和とは対照的なキャリアを歩く亜子
東京五輪メダリストの妹対決とは、女子団体銀メダルの平野美宇の妹・亜子と、男子団体銅メダルの張本智和の妹・美和によるベスト8決定戦だ。
亜子は17歳の高校2年生、美和は13歳の中学1年生。同じ舞台に立った2人だが、卓球とのかかわり方は大きく異なる。
中学入学と同時に宮城県仙台市の実家を離れた美和は、Tリーグに参戦する木下グループの木下卓球アカデミー(神奈川県川崎市)に所属し、兄と同じプロの道を歩む。日本女子卓球の次世代を担うジュニアナショナルチームのメンバーでもあり、昨年12月、ポルトガルで開かれた世界ユース選手権では女子団体、女子シングルスおよびダブルス、混合ダブルスで優勝し4冠に輝いた。
一方、山梨県の公立高校に通う亜子は学校の部活動と母・真理子の運営する卓球スクールで日夜練習に励む。進学校のため毎日こなさなければならない課題は多く、時間をやりくりして卓球と勉強の両立に努める。卓球の腕前は山梨県でトップクラスで、昨夏にはインターハイにも出場したが、基本的にはごく一般的な学生生活を送っている。
そんな2人の初対戦はストレート勝ちで美和に軍配が上がった。負けた亜子はベスト16で大会を終えたが、全日本選手権初出場だった昨年の1回戦敗退を大きく塗り替える結果だ。