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《夢の対談が実現!》栗山英樹×エディー・ジョーンズ「選手の選考基準とは?」栗山監督が聞いたエディーさんへの質問
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/06/11 17:02
ラグビー日本代表HCエディー・ジョーンズとWBC優勝監督・栗山英樹の初対談が実現し、大いに盛り上がった
EJ 私がやってきたことは、「決して日本人になろうとはしないこと」です。その代わり、「日本人のように考えること」は徹底してきたつもりです。
栗山 それは興味深いですね。
EJ 「日本人だったらこう考えるだろうな」と考えながら、アイデアを出していきます。日本人の日常の特性として挙げられるのが、5分前行動で物事を進めて、規律を重んじること。それらを生かしつつ、時にはその殻を破ってもらうように仕掛けたりもします。そうして生まれたアイデアをコーチ、スタッフ、そして選手たちと共有することがチームづくりの第一歩です。WBCでは栗山監督もそうだったのではないですか?
栗山 幸いなことに中心となる選手、ダルビッシュ有と翔平がいて、翔平とはファイターズで一緒にユニフォームを着てましたし、ダルビッシュとは'22年にアメリカで話をして、考え方を共有できていました。彼らが侍ジャパンに入ってくれれば、チームにとって必要な他の選手も喜んで参加してくれるだろう。そうした発想で編成を進めました。
EJ やはり人間と人間の掛け合わせ、ケミストリーを期待したわけですね。WBCのドキュメンタリーを見て興味深かったのは、メジャーリーガーのラーズ・ヌートバーを招集するところでした。日本人の遺伝子を引いているとはいえ、日本球界にほとんど縁がなかった彼をチームに入れるのはギャンブルではありませんでしたか?
栗山 たっちゃん(ヌートバーの愛称)を呼んだのは、まさに'15年、'19年のラグビー日本代表がヒントになっていたんですよ。生まれ育った環境は違えども、日本代表のために一生懸命プレーする。たっちゃんならやってくれると信じてました。
たっちゃんを選んだことで優秀な選手がひとり…
EJ 彼は日本語が話せるんですか?
栗山 まったく話せません。それでもオンラインで話をすると、本当に素晴らしい人間だということが伝わってきたのと、メジャーリーグでのデータを見ると出塁率が高く、パワーとスピードもあって、チームにとっての起爆剤になってくれると確信していたんです。
EJ リスクを取ったけれど、その価値は十分にありましたね。
栗山 彼がプラスアルファを生んでくれたのは間違いありません。ただし、雑音はありました。たっちゃんを選んだことで日本の優秀な選手がひとり、代表に入れなくなったわけですから。その件でメディアから批判も当然ありました。この機会にうかがいますが、エディーさんはメディアからの雑音にどう対処しているんですか? 私は日本国内だけですが、エディーさんの場合は世界中のメディアが注目していますよね。
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