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もしあのまま皐月賞に出ていたら…ダノンデサイルをダービー制覇に導いた横山典弘56歳“大英断のウラ側”「大事にすれば、馬は応えてくれる」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKeiji Ishikawa
posted2024/05/27 17:01
日本ダービーを制したダノンデサイルと横山典弘。56歳の名手が皐月賞で下した“英断”が、最高の結果をもたらした
「最年長と言われてもピンと来ない。若いときも、今も、自分のことというより、馬に携わっているみんなとタッグを組んで勝てたということが嬉しいです」
ジャスティンミラノの戸崎圭太もソツなく乗ったが…
そうした横山の考え方や、皐月賞除外後のプロセスを知っているファンや関係者は多い。それもあってか、ゴール後、向正面で拳を突き上げる姿がターフビジョンにアップになったときや、ウイニングランでスタンド前に戻ったときにはファンから大歓声が沸き起こり、検量室前で下馬したときには関係者から温かい拍手が送られた。「競馬の祭典」と言われるダービーならではのシーンである。
その横山と安田師は、ダービーでこれだけ強い勝ち方をしたのに、ダノンデサイルはまだ本来の状態ではないと口を揃える。万全だったらどんなパフォーマンスを披露してくれるのか、楽しみでもあるし、ちょっと恐ろしくもある。
なお、1984年のグレード制導入以降で最年少となる41歳10カ月19日でダービーを制した安田師にとって、これがGI初制覇でもあった。
2馬身差の2着は1番人気のジャスティンミラノ、そこから1馬身1/4遅れた3着はシンエンペラーだった。
ジャスティンミラノの戸崎圭太はソツなく乗ったが、横山がそれ以上に上手く乗った。シンエンペラーに騎乗した坂井瑠星は、フォーエバーヤングで臨んだケンタッキーダービーでも3着だった。同一年に日米のダービーで3着は立派だと思うが、本人はどちらの3着も「悔しいです」と話している。
今年は全馬無事にゴールしてくれたことを喜びたい。「競馬の祭典」と呼ぶに相応しい熱戦であった。