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もしあのまま皐月賞に出ていたら…ダノンデサイルをダービー制覇に導いた横山典弘56歳“大英断のウラ側”「大事にすれば、馬は応えてくれる」
posted2024/05/27 17:01
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
名手による6週間前の「英断」が、「競馬の祭典」の劇的な勝利を引き寄せた――。
第91回日本ダービー(5月26日、東京芝2400m、3歳GI)で、横山典弘が騎乗する9番人気のダノンデサイル(牡、父エピファネイア、栗東・安田翔伍厩舎)が、先行して内から鮮やかに抜け出して優勝。同馬は、4月14日の皐月賞の発走直前に跛行のため競走除外になっていた。
横山はGI最年長優勝記録を、そして安田師はグレード制導入以降のダービー最年少優勝記録をそれぞれ更新。騎手と調教師が最年長記録と最年少記録を同時に更新するという、珍しいケースとなった。
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なお、史上8頭目となる無敗のクラシック二冠制覇を狙った1番人気のジャスティンミラノは2馬身差の2着、史上4頭目の牝馬による優勝を目指したレガレイラは5着に敗れた。
「一番年長なんでね」56歳の名手が見せつけた技量
ダノンデサイルは内目の5番枠から好スタートを切った。
「行く馬がいなくなったんで、普通か遅いぐらいになるだろうと思って、スタートさえ上手く決まれば、(ハナに)行ってもいいぐらいの気持ちで出して行きました」と横山。
彼の言う「行く馬」とは、金曜日にザ石のため出走を取り消したメイショウタバルのことだ。皐月賞をハイペースで逃げた同馬が不在のここは、流れが遅くなると予想されていた。実際、1000m通過1分2秒2というスローペースになった。横山はつづける。
「岩田(康誠、エコロヴァルツに騎乗)君が行ってくれたんで、ちょうどいい感じのポケットに入ることができました」
道中は4番手の内。逃げるエコロヴァルツ、その後ろにつけた武豊のシュガークン、戸崎圭太のジャスティンミラノといったライバルを見る形になった。が、横山は、他馬の動きより、自分の馬のリズムを最優先にしてレースを組み立てたという。
「直線までじっとできたので、進路さえ見つかれば伸びてくれると思っていました」
ラスト400mを切ったところで最内から先頭に並びかけ、ラスト300m地点で先頭に立ち、そのままリードをひろげてゴールした。