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青山学院や國學院の陸上部がアディダスのランニングアプリを活用して、とてつもない社会貢献活動になった理由とは? 

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松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2023/12/11 07:00

青山学院や國學院の陸上部がアディダスのランニングアプリを活用して、とてつもない社会貢献活動になった理由とは?<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

「MOVE FOR THE PLANET」のプロジェクトリーダー、アディダス ジャパンの福田新氏

――多くの契約アスリートや競技団体のみなさんが協力しているのも特徴的です。

「本当にパートナーのみなさんのおかげだと思っています。JFAさん(日本サッカー協会)、横浜F・マリノスさんなどのJリーグ各クラブ、Bリーグのアルバルク東京、サントリーサンゴリアスなどの各ラグビークラブ。個人でも柔道の阿部一二三・詩選手など。こうした活動の回数を重ねるごとに、アスリートのみなさんの理解も深まっていって、我々としてもアイディアがどんどん膨らんでいった。それがプラットフォームを育てる要因になったと感じています。

 例えば青山学院大と國學院大の陸上部のみなさんに活動の趣旨を伝えたときも、快く賛同いただきました。ランニングアプリを日々の練習の記録に活用しながら、それが環境問題への貢献にもなるということで、積極的に活用してくれた。日々のランニング量が、一般の方とは桁違いですからね。他選手との比較もできるアプリですので、良い意味で競争心も持っていただいて、とてつもない活動時間が記録されましたね(笑)」

社会貢献の意識が高いアスリート

――活動を共にする中で、特にサステナビリティへの意識が高いと感じたアスリートはいますか。

「ラグビーの五郎丸歩さんと、カヌーの羽根田卓也選手は印象的ですね。我々は2017年から海洋ごみ問題に取り組む『RUN FOR THE OCEANS』というプロジェクトを行ってきました。『MOVE FOR THE PLANET』は、その発展形です。五郎丸さんは『RUN FOR THE OCEANS』が始まった頃からずっと前のめりに参加いただいています。店舗でイベントを開催すると伝えれば、すぐに『行きます。何やりましょうか?』と言ってくれます。コンセプトに対する理解や、地球のためにアディダスと一緒に行動したいという思いを強く持ってくださって、とてもありがたいですね。

 羽根田選手にも長年、協力いただいています。羽根田選手は主にヨーロッパで活動されていて、競技の特性上、普段から川で練習をしています。そんな中、近年は川の環境が変化して、ゴミが増えていることも実感していたそうです。ヨーロッパでは、こうした環境問題が大きく扱われ、アクションを起こす団体も多い。一方、日本は他国と比較すると河川が綺麗な分、大きなアクションが見えづらい部分がある。羽根田選手からは『RUN FOR THE OCEANS』や『MOVE FOR THE PLANET』のような取り組みがあると、みんなが参加しやすいという言葉をいただきました。海外で生活しているからこその視点、感じ方の違いを知れたことも大きかったですね」

――サッカー日本代表とのウォーキングフットボールのイベントは、どのような経緯で実現したのですか。

「JFAさんは、社会貢献やSDGsの達成につなげる『アスパス!』という活動を行っています。未来のサッカー環境を守るという意識も高いので、以前から『アスパス!』とのコラボ企画もご提案いただいていました。そこで『MOVE FOR THE PLANET』を通して、サッカーで貢献できたらいいよね、と。去年までは日本代表選手のトレーニングや試合における走行距離などに絡めた活動を行っていたのですが、今年は選手ありきではなく、お客さまも一緒に参加できる形にしたいということで、ウォーキングフットボールのイベントが実現しました。

【次ページ】 「MOVE FOR THE PLANET」のゴールとは

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